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Der Stern   Op.69-1 TrV 237  
  Fünf kleine Lieder
星  
     5つの小さな歌曲

詩: アルニム (Karl Joachim Friedrich Ludwig von Arnim,1781-1831) ドイツ
      Ich sehe ihn wieder den lieblichen Stern

曲: シュトラウス,リヒャルト (Richard Strauss,1864-1949) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Ich sehe ihn wieder den lieblichen Stern;
er winket hernieder,er nahte mir gern;
er wärmet und funkelt,je näher er kömmt,
die andern verdunkelt,die Herzen beklemmt.

Die Haare im Fliegen er eilet mir zu,
das Volk träumt von Siegen,ich träume von Ruh.
Die andern sich deuten die Zukunft daraus,
vergangene Zeiten mir leuchten ins Haus.

私は再びあの愛らしい星を見る
星は下界に合図して、幸せそうに私に近づく
星は暖かくきらめき、近づいてくるにつれて
他のものを暗くし、人々の心を沈ませるのだ

その髪をなびかせながら星は私に向かって急ぐ
人々は勝利を夢見るが、私は安息を夢見る
他の人たちは星から未来を読み取るけれど
過ぎ去った時が私にとってはわが家を明るくするのだ


作品69は一つ前の歌曲集・作品68の歌詞に選んだ詩人クレメンス・ブレンターノの友人として、一緒に民謡集「子供の不思議な角笛」を編纂したことで知られるアヒム・フォン・アルニムの詩より3篇と、ハイネの詩より2篇を選んで歌曲集としています。
凝った作りで壮麗な響きのブレンターノ歌曲に比べると、素朴な雰囲気で親しみやすい曲が多いですが、じっくり聴いてみるとシュトラウスらしい趣向に満ちた精緻な作りの作品であることかわかります。
第1曲は彗星の描写ですね。将来の凶兆を予言するとして他の人々には嫌われる彗星ですが、私にとっては過去の安らぎを感じさせる星だと歌っています。かなり含意のある詩のように思われますが、シュトラウスの付けた曲はあまりそんな陰のないあっさりしたものなのが面白いところ。作品68にあってもあまり多く取り上げられる作品ではありませんがメロディは魅力的で耳によくなじみます。

( 2009.12.19 藤井宏行 )


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