Schmerzen WWV 91 Wesendonck-Lieder |
痛み マチルデ・ヴェーゼンドンクの詩による歌曲集 |
Sonne,weinest jeden Abend dir die schönen Augen rot, wenn im Meeresspiegel badend dich erreicht der frühe Tod; doch erstehst in alter Pracht, Glorie der düstren Welt, du am Morgen neu erwacht, wie ein stolzer Siegesheld! Ach,wie sollte ich da klagen, wie,mein Herz,so schwer dich sehn, muß die Sonne selbst verzagen, muß die Sonne untergehn? und gebieret Tod nur Leben, geben Schmerzen Wonne nur: O wie dank ich,daß gegeben solche Schmerzen mir Natur! |
太陽よ、夕べごとに泣いて お前の美しい瞳は真っ赤だ 海の鏡面の中にその身を浸し お前がその早い死を迎えるときには だが前のままの輝きでまた昇ってくる 陰鬱なこの世界の栄光よ お前は朝に再び目を覚ますのだ 誇りに満ちた勝利の英雄のように! ああ、ならばどうして私は嘆く必要があろう、 なぜ、わが心よ、そんなにお前は重く沈むのか 太陽さえも弱々しくならねばならぬというのに 太陽さえも沈まねばならぬというのに? そして死だけが生を生み 苦しみだけが喜びをもたらすのだから おお、どれほど私は感謝すればよいだろう、こうして与えられたことを この痛みを 自然が私に! |
夕暮れに沈み行く太陽の最後の輝きを音楽にすると、こんな風に壮麗ではありながらどこか寂しさも漂わせるものとなるのでしょう。ゆっくりと下降していく音型が巨大な夕日を連想させます。このメロディが伴奏と歌に何度も何度も現れて、滅びゆく一日に感じている痛みをしみじみと歌いあげてゆきます。
2010.03.12 2012.08.11 訳詞改訂しました
( 2012.08.11 藤井宏行 )