Chanson de Mai V.73 |
五月の歌 |
Mignonne,tu dors...Si je te réveille C'est pour te donner ce simple bouquet; Le soleil de Mai reverdit la treille, Dans mon jardin chante un chardonneret: Ce que dit l'oiseau c'est tout un poème Que la brise porte aux échos rêveurs. Et l'amour répond au joyeux bohème Sur le bord d'un nid tresse dans les fleurs: Le printemps est renaît,Vive l'espérance! Aux temdres accords ouvrons notre coeur. Adieu sombres nuits,longs jours de souffrance, Voici le bonheur! Mignonne sourit,belle paresseuse, Elle tend vers mois ses bras potelés. Et dans un baisersa bouche rieuse Murmure des mot inarticulés. Ce qu'elle me dit,la charmante fille Moi seul le comprends...j'y songe...toujours Dans le bois discret,sous une charmille, Nous allons chanter nos jeunes amours. Le printemps est renaît,Vive l'espérance! Aux temdres accords ouvrons notre coeur. Adieu sombres nuits,longs jours de souffrance, Voici le bonheur! |
可愛い人よ、眠っている君を...もし僕が起こすとすれば それは君にこのささやかな花束を贈るためだ 五月の太陽はブドウの木を再びよみがえらせ 僕の庭にはゴシキヒワが歌っている 小鳥のさえずりは皆、美しい詩なのさ それをそよ風が夢見るこだまに届ける そして愛は陽気なボヘミアンたちに答える 花で囲まれた幸せの愛の巣へと 春が再びめぐってきたのだ。希望よ万歳! 優しい調べに心を開こう さようなら、暗い夜、苦しみの長い日々よ ここにほら、幸せが! 微笑む、可愛いのんびり屋さんの君は ふくよかな腕を僕に差し伸べ そして、くちづけの最中、微笑む口元で 聞こえない言葉をささやく 君が僕に言ったことは、可愛い人よ、それでも 僕には分かっている 静かな森の中、この茂みの下で ぼくらは若い恋を謳歌しよう 春が再びめぐってきたのだ。希望よ万歳! 優しい調べに心を開こう さようなら、暗い夜、苦しみの長い日々よ ここにほら、幸せが! |
若くして亡くなったベルギーの作曲家ギョーム・ルクーはその代表作ヴァイオリンソナタの美しさからも連想されるように、詩情溢れる繊細な音楽を歌曲の世界でも紡ぎ出しています。実に10曲足らずしかない彼の歌曲は、どれも溜め息が出るような優しい調べに満ち溢れています。
その中でも一番素敵だと思うのがこの「五月の歌」、詩のジャン・ルクーという人は彼の叔父に当たるのだそうですが、無名の詩人にも関わらずこれはとても素敵な恋の歌です。
そこに甥のルクーが付けたメロディは、メンデルスゾーンの舟歌を思わせるようなゆったりしたたゆたう調べ....
「春が巡ってきたのだ」の部分でもとてもひそやかに喜びを歌います。
残念なことにルクーの歌曲を聴ける機会というのがほとんどなく、私がこの曲を聴けたのも日本では廃盤になって久しいブルーノ・ラプラントのバリトン、ラシャンスのピアノ伴奏のCalliope盤しかないのですが、苦労して探した価値は十分にありました。
彼のお洒落な歌い方が、この知られざる佳曲をとても魅力的なものにしています。
( 2004.05.01 藤井宏行 )