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Entsagung   Op.9-11  
  12 Lieder
諦念  
     12の歌曲

詩: ドロイゼン (Johann Gustav Droysen,1808-1884) ドイツ
      Entsagung

曲: メンデルスゾーン (Jakob Ludwig Felix Mendelssohn,1809-1847) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Herr,zu Dir will ich mich retten,
Wenn die Welt mich kränkt und schlägt,
Will in Deinen Schooß mich betten,
Wund und müd' von argen Ketten,
Die meine schwache Seele trägt.

Herr,nach Deiner Gnad' und Treue
Sehnt sich mein geängstigt Herz,
Daß ich meine Schuld bereue,
Daß ich meinen Bund erneue,
Von Jammer frei und frei von Schmerz.

Gott,zu Deinem sel'gen Frieden
Kehret heim Dein treues Kind,
Dir zu dienen ohn' Ermüden,
Dich zu schauen froh beschieden,
Wo mit Dir Deine Engel sind.

主よ、御身のもとで私は自らを救わん
この世が私を傷付け 打ちすえるときも
御身のふところに私は横たわり
恐ろしき鎖よりの傷と疲れに
私の弱い魂を耐えさせるのだ

主よ、御身の慈悲と信義に
私の不安な心は憧れる
私は自らの罪を悔い
私は自らの絆を新たにす
悲しみより逃れ、痛みより逃れて

神よ、御身の至福の安息へと
戻って参ります 御身の忠実な子は
倦むことなく御身にお仕えしようと
つつましい喜びに満ちて御身をお見つめしようと
御身とともに天使たちのおられるところで


メンデルスゾーンは初期に宗教的な歌曲をOp.8などでいくつか書いていますが、これもその系譜につらなる曲でしょうか。ユダヤ・キリスト教に関する知識に乏しい私にはこの歌詞の内容でどうしてタイトルがEntsagung(あきらめ)なのかがいまひとつピンとは来なかったのですが、すべてを「あきらめ」て神のもとに身まかろうといったところでしょうか。そういえば日本語の「あきらめ」にも「すべてを明確にする」というような語意もあったように思いますので。
音楽は淡々として、まさにすべてを「あきらめ」ているかのよう。インパクトは強い曲ではないですがしみじみと心に沁みてきます。

( 2009.11.03 藤井宏行 )


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