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Es lauschte das Laub so dunkelgrün   Op.86-1  
  6 Gesänge
濃い緑の木の葉が聞き耳を立てていた  
     6つの歌

詩: クリンゲマン (Karl Klingemann,1798-1862) ドイツ
      Es lauschte das Laub so dunkelgrün

曲: メンデルスゾーン (Jakob Ludwig Felix Mendelssohn,1809-1847) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Es lauschte das Laub so dunkelgrün
Dort in das Fenster hinein,
Die Sonne darin am liebsten schien,
Dort sangen die Vögelein.
Sie wähnen,es werde so ewig währen,
Sie spielen und mögen's nicht anders begehren.

Es lauscht aus dem Laub so dunkelgrün,
Es strahlen dort Augen hinaus,
Es ranken die Reben im stillen Bemüh'n,
Umgarnen das einsame Haus.
Es wähnen die Armen,das Leuchten zu fangen,
Sie streben und weben mit Sehnsucht und Bangen.

Nun rauschet das Laub so gelblich rot,
Sieht nicht mehr in's Fenster hinein,
Das Vögelgezwitscher ist still und tot,
Vorüber der Sonnenschein!
Wohl mußte das freudige Grün verblassen,
Das Fenster im Laube ist leer und verlassen.

濃い緑の木の葉が聞き耳を立てていた
あそこの窓の中の方へと
太陽はその中へ嬉しそうに差し込み
そこでは小鳥たちが歌っていた
彼らは思い込んでいたのだ それが永遠に続くものだと
彼らは遊び戯れる 他のことなど求めていないかのように

濃い緑の木の葉が聞き耳を立てていた
そこから瞳が輝き出していた
枝は絡みついた 静かな努力とともに
この一軒家を包み込もうと
哀れなものたちは、光を捕まえようと
彼らは憧れと恐れを紡ぎ出していた

今や木の葉は茶褐色となってざわめく
もはや窓の中を覗き込みはしない
鳥たちのさえずりも静まり死に絶えた
太陽の光もどこかに去った!
喜ばしかった緑も色あせずにはいられない
茂みの中の窓は空っぽで見捨てられている


なんとも仏教の諸行無常を考えさせるような詩ですが、四季の変化の激しい中部ヨーロッパならではの光景とも言えるでしょうか。冬の訪れとともに、この茂みに包まれた家の中にも住む人がいなくなってしまう...
メンデルスゾーンが多数曲をつけている友人のクリンゲマンによる詩につけたもののひとつです。歌曲集は作曲者死後の出版(1851)。

( 2009.11.03 藤井宏行 )


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