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Descúbrase el pensamiento    
  Canciones amatorias
思いを明かそう  
     愛の歌曲集

詩: デ・アビラ (Comendador de Ávila,-) スペイン
      

曲: グラナドス (Enrique Granados y Campiña,1867-1916) スペイン   歌詞言語: スペイン語


Descúbrase el pensamiento
de mi secreto cuidado,
pues descubrir mis dolores,
mi vivir apasionado;
no es de agora mi pasión,
días ha que soy penado.
Una señora a quien sirvo
mi servir tiene olvidado.

Su beldad me hizo suyo,
el su gesto tan pulido
en mi alma está esmaltado.
¡Ay! ¡Ay de mí!
Que la miré,que la miré
para vivir lastimado,
para llorar y plañir
glorias del tiempo pasado.
¡Ay! Mi servir tiene olvidado.

思いを明かそう
私の秘めた気がかりを
それから私の苦悩を明かそう
わが苦しみの人生を
この思いは新しいものではない
ずっと私は苦しめられてきたのだ
私の尽くしてきたひとりの女が
私の献身を忘れてしまったのだから

彼女の美しさは
洗練されたその振る舞い
私の魂は離れられない
ああ!ああ 惨めな私
彼女を見つめる、彼女を見つめる
悲しみに暮らしながら
嘆き悲しみながら
昔の素晴らしい思い出を
ああ!私の献身は忘れられてしまったのだから


スペイン歌曲の中でも屈指の傑作として知られる「トナディーリャス」を書いてから2年後の1914年、グラナドスはもうひとつの歌曲集を仕上げます。「トナディーリャス」が彼と同時代の詩人ペリクエ(友人であったとか)の手になる、「昔風の」とはありますが悪く言えばまがいもの(しかし出来すぎてかえって魅力を増したまがいものではあります)の 18世紀風の歌詞であったのに対し、こちらの「愛の歌曲集 (カンシオネス・アマトリアス)」は16〜17世紀に書かれたテキストを拾い上げてきていますので、「正真正銘の」本物による昔風の歌といったところでしょうか。しかし昔風の詩ではありながら、音楽はときにドビュッシーやラヴェルを思わせる洗練された現代風の響きをさせて、不思議なインパクトを漂わせる歌曲となりました。露骨な民謡調にしていないために、耳にさっとまとわり付く分かりやすいメロディこそありませんが、聴けば聴くほどに味わいの増す素敵なスペインの宝物です。

第1曲は、これだけ男心をはっきりと歌っているからでしょうか、女性が歌うことの多いこの歌曲集ではこれだけ取り上げられないこともありますが、小刻みに動くリズムと微妙に揺らぐ不思議な転調と絡み合い、そこにディープ・フラメンコ風の味付けをするものですからなかなか貫禄のある曲になりました。暗い情念がいかにもというスペイン風の味付けです。現代曲を得意とするソプラノ、クリスティーネ・エルツェの絶品ともいえる歌が聴けました(BC)。歌詞は確かに昔風の恨み節ですね。19世紀以降の詩にはこういう言い方はあまりないよなあ、などと思いながら訳してみました。

( 2009.10.01 藤井宏行 )


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