Als die alte Mutter Op.55-4 Zigeunermelodien (Cigánské melodie) |
年老いた母が ジプシーのメロディー |
Als die alte Mutter mich noch lehrte singen, Tränen in den Wimpern gar so oft ihr hingen. Jetzt wo ich die Kleinen selber üb' im Sange, rieselt's mir vom Auge, rieselt's oft mir auf die braune Wange (チェコ語詞) Když mne stará matka zpívat,zpívat učívala, podivno,že často,často slzívala. A ted' také pláčem snědé líce mučim, když cigánské děti hrát a zpívat učim! |
年老いた母が あたしに歌うことを教えてくれたとき 涙がまつ毛に いつも掛かっていた 今 あたしが小さい子に 自ら歌を教えると 私の目からもそれがしたたり落ちるの したたりおちるの 日焼けした頬の上を 私の年老いた母が歌を、歌を教えてくれたとき 不思議なことにいつも、いつも涙を浮かべてた そして今 この日に焼けた頬にも涙が落ちる 私がジプシーの子供たちに遊びや歌を教える時には! |
「母の教え給うた歌」として、ドヴォルザークの歌曲の中でも最も知られた歌でしょう。ただこれでは歌の内容とタイトルとが必ずしも取れていませんね。英語として普通に用いられているタイトル「Songs my mother taught me」から訳されたものが流布しているということかと思いますが詳細は分かりません。この詩で興味深いのは、チェコ語の詩にはありますが、ドイツ語の歌詞には「ジプシー」という言葉が全くないこと。普遍的な「母であることの悲しみ」を表すにはそういった固有名詞はいらないということでしょうか。まあチェコ語の詞でも「ジプシーの子供たち cigánské děti」という一か所だけなので強くこだわるところではないのでしょうけれども。
大元の詩集では22番目。原詩を見ると歌われる詞との差はこの曲に関してはほとんどないようです。
Když mne stará matka
zpívat učívala,
podivno,že často,
často slzívala.
A teď také slzou
snědé líce mučím,
když cigánské děti
hrát a zpívat učím.
( 2009.09.18 藤井宏行 )