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Manteau de fleurs   M.39  
 
花のマント  
    

詩: グラボレ (Paul Gravollet,1863-1936) フランス
    Les Frissons  Manteau de fleurs (1903)

曲: ラヴェル (Maurice Ravel,1875-1937) フランス   歌詞言語: フランス語


Toutes les fleurs de mon jardin sont roses,
Le rose sied à sa beauté.
Les primevères sont les premières écloses,
Puis viennent les tulipes et les jacinthes roses,
Les jolis oeillets,les si belles roses,
Toute la variété des fleurs si roses
Du printemps et de l'été!
Le rose sied à sa beauté!
Toutes mes pivoines sont roses,
Roses aussi sont mes glaïeuls,
Roses mes géraniums; seuls,
Dans tout ce rose un peu troublant,
Les lys ont le droit d'être blancs.
Et quand elle passe au milieu des fleurs
Emperlées de rosée en pleurs,
Dans le parfum grisant des roses,
Et sous la caresse des choses
Tout grâce,amour,pureté!
Les fleurs lui font un manteau rose
Dont elle pare sa beauté.

私の庭の花はみんなバラ色だ
その美しさによく似合うバラ色だ
プリマヴェーラたちが最初に花開く
それからチューリップとバラ色のヒヤシンス
魅力的なカーネーション、みんなバラ色の美しさ
いろんな種類のきれいなバラ色の花たち
春の そして夏の花!
その美しさによく似合うバラ色だ
私のボタンもみんなバラ色
バラ色だ 私のグラジオラスも
バラ色だ 私のゼラニウムも、ただ
みんなバラ色ではちょっとばかり物足りない
ユリだけは白く咲く権利がある
そして彼女がこの花の中を通り過ぎるとき
花は涙の露の真珠に彩られ
バラの酔わせる香りでいっぱいで
そして花みなを愛撫する中で
すべては優美で、愛らしく、清らかだ!
花たちは彼女のためにバラ色のマントとなって
彼女を美しく彩るのだ


あまりラヴェルが好んで曲をつけるような感じのしない、ひねりや深みのないある意味陳腐な詩(繊細な美しさは感じますがあまりに単純と思います)をなぜか歌曲にしています。どうも調べてみるとこれは詩人の方から依頼されて曲を書いたというのが真相のようで、そうだとするとこの曲がなぜ生まれたかの訳もよくわかります。と悪口を書きましたがこの曲、詩と音楽が混然と溶け合ってとても繊細で美しい作品に仕上がっています。ドビュッシーの最良の歌曲を連想させるような見事な仕上がり。聴いていてとても幸せな気分になります。

( 2009.09.12 藤井宏行 )


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