TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Les grands vents venus d'outremer   M.48  
 
激しい風たちが外海から  
    

詩: レニエ (Henri Francois-Joseph de Régnier,1864-1936) フランス
      Les grands vents venus d'outremer

曲: ラヴェル (Maurice Ravel,1875-1937) フランス   歌詞言語: フランス語


Les grands vents venus d'outremer
Passent par la ville,l'hiver,
Comme des étrangers amers.

Ils se concertent,graves et pâles,
Sur les places,et leurs sandales
Ensablent le marbre des dalles.

Comme de crosses à leurs mains fortes,
Ils heurtent l'auvent et la porte
Derrière qui l'horloge est morte.

Et les adolescents amers
S'en vont avec eux vers la mer.

激しい風たちが外海から
街を吹き抜ける、冬
まるで苦い顔の異邦人のように

風たちは集まってくる、深刻に蒼ざめて
広場へと、そして彼らのサンダルは
敷石を砂で埋めてしまう

力強い手に持った杖のように
風たちは庇や戸口を叩く
後ろの時計は死んでいる

そして苦い顔の若者たちが
風と共に海へと向かうのだ


多彩で目立つ題材の多いラヴェルの歌曲作品群の中にあっては、この曲は渋すぎるためにあまり取り上げられることも多くないようですが、1907年に書かれたこの作品、なかなかの傑作だと思います。力強い、しかしながら幻想的なピアノ伴奏に乗せて語り、そして時に叫ぶような歌声が響く、中間部の盛り上がりなどは息を呑む緊張感です。2分あまりの短い曲ですがとても印象に残ります。アンリ・ド・レニエ(1864-1936)はノルマンディー生まれの象徴派詩人。恐らく彼の生まれ故郷の情景を詩にしているのでしょう。外海とは大西洋のことですね。

( 2009.09.12 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ