Tripatos M.A 13 |
トリパトス |
Kherya pou dhen idhen ilyos Poss ta pya noun ivatri. Keenas me ton alo leyi Poss dhen ineya zoi. Tralilila lalalala lililili la. |
太陽に当たったことのないこの手 どうやってお医者様方は診てくれるのかしら すると手が互いに言い合うには: どうやっているの 暮らしやすく作られていなくて? トラリリラ ララララ リリリリ ラ |
これは「5つのギリシャ民謡(1906)」に引き続いて1909年に書かれた作品で、同様にギリシャ民謡に基づく作品です。ギリシャで歌われているオリジナルの詞は見つけることができませんでしたが、ラヴェルのものも歌詞はご覧のようにギリシャ語で歌われることが多いようです。ギリシャ語からの直訳は私には無理なのですが、ギリシャ語の辞書で手がKherya、太陽がilyos、医者がivatriなどいくつかの語の対応が確認できて、「5つのギリシャ民謡」の時同様フランス語訳をしているカルヴォコレッシのものがかなり原詩に忠実かと思われましたのでそちらから訳しております。
フランス語詞の方も著作権切れかと思われますので以下にご紹介しましょう。
Mains qui n'ont pas vu le soleil
Comment les prennent les médecins.
Et l'un avec l'autre disent:
Comment se fait-il qu'elle ne soit pas destinée à vivre?
トリパトスというのは訳すと“Three Parts”と言ったところ。ギリシャのダンスのスタイルのようです。はじめの欧風のゆったりした朗唱風の部分と、それを引き継いで少し速くエキゾチックな軽やかな調べが続き、そして最後のトララは中近東風の響きも織り交ぜながら超快速に、という変化に富んだ3つのパートで構成されています。
( 2009.09.11 藤井宏行 )