TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Scheidend   Op.9-6  
  12 Lieder
旅立ち  
     12の歌曲

詩: フォス (Johann Heinrich Voß,1751-1826) ドイツ
      Scheidend

曲: メンデルスゾーン (Jakob Ludwig Felix Mendelssohn,1809-1847) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Wie so gelinde die Flut bewegt!
Wie sie so ruhig den Nachen trägt!
Fern liegt das Leben,das Jugendland!
Fern liegt der Schmerz,der dort mich band,
Sanft tragt mich,Fluten,zum fernen Land!

Droben der Sterne stiller Ort,
Unten der Strom fließt fort und fort.
Wohl warst du reich,mein Jugendland!
Wohl war es süß,was dort mich band,
Sanft tragt mich,Fluten,zum fernen Land!

なんと穏やかに川は流れるのか!
なんとゆったりと舟は流されてゆくのか!
はるか後方の人生、若き日の地!
はるか後方の痛み、そこに私は縛り付けられていたのだ
やさしく私を運んでくれ、流れよ、あのはるか遠くの地に!

頭の上には星たちの静かな場所
足元には川が流れ流れてゆく
全くお前は豊穣だった、我が若き日の地よ!
本当に幸せなことだった、そこに縛り付けられていたことは
やさしく私を運んでくれ、流れよ、あのはるか遠くの地に!

ヴォス(フォスの方が正しい発音に近いかも知れません)の書いた詩は、若き日々を過ごした故郷から新たな新天地に向かって船に乗って旅立つというもの。従って邦題でしばしば使われる「別れ」や「別れゆきつつ」よりも「旅立ち」の方が良いかなと思いましたのでそうしています。楽しいこともあり、またつらいこともあった故郷を振り返りながらも、新たなる天地に向かって心は飛び立っている...
若き日のメンデルスゾーンの心にこの詩はきっと心に響いたことでしょう。非常に興味深い作品です。

( 2009.09.05 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ