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Non t’accostare all’urna    
  6 romanze
この骨壷に近付いてはならぬ  
     6つのロマンツェ(1838)

詩: ヴィットレッリ (Jacopo Vittorelli,1749-1835) イタリア
      

曲: ヴェルディ (Giuseppe Verdi,1813-1901) イタリア   歌詞言語: イタリア語


Non t’accostare all’urna
Che il cener mio rinserra;
Questa pietosa terra
È sacra al mio dolor.

Odio gli affanni tuoi,
Ricuso i tuoi giacinti;
Che giovano agli estinti
Due lacrime o due fior?

Empia! Empia! dovevi allora
Porgermi un fil d’aita
Quando traea la vita
Nell’ansia e nei sospir.

A che d’inutil pianto
Assordi la foresta?
Rispetta un’ombra mesta
E lasciala dormir.

この骨壷に近付いてはならぬ
わが遺灰を納めた壷に
この慈悲深き地は
わが苦悩の聖域なのだ

私はお前の嘆く姿を憎む
お前の捧ぐヒヤシンスも拒む
死者に役立つものが
たった二筋の涙や二本の花だというのか?

不実な女!不実な女!お前は
救いの糸を差し出してくれていなければならなかったのだ
わが命がまだ在りし時に
苦悩と溜息の中に

その無益な涙で
森の平安を乱そうというのか?
この哀しい霊魂を敬って
そっと眠らせておいてくれ


ヴェルディ若き日の作品「6つのロマンツァ」(1838)の第1曲。まだ彼の本格的なオペラは世に出ていない時ですが、既に将来の大成を予感するかのような柄の大きなオペラティックな歌です。恋の苦悩によって(恐らくですが)死んでしまった男を悼んで、彼につれなくした昔の女がヒヤシンスの花を墓に捧げに来ている。そこに現れた男の霊が、彼女に激しい恨み言をつぶやく(彼女は彼の姿も見えず、声も聞こえてはいないのだと思いますけれども)。ドロドロの人間ドラマに流麗なメロディをつけて美しい世界を構築するヴェルディお得意の技がもう既に発揮されています。

( 2009.08.27 藤井宏行 )


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