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Der Pilgrim vor St. Just   Op.99-3  
  Keiser Karl V
サン・ユスト僧院前の巡礼  
     皇帝カール五世

詩: アウグスト フォン プラーテン (Karl August von Platen-Hallermünde,1796-1835) ドイツ
      Der Pilgrim vor St. Just

曲: レーヴェ (Johann Carl Gottfried Loewe,1796-1869) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Nacht ist's,und Stürme sausen für und für,
Hispan'sche Mönche,schließt mir auf die Tür!

Laßt hier mich ruh'n,bis Glockenton mich weckt,
der zum Gebet mich in die Kirche schreckt!

Bereitet mir,was euer Haus vermag,
ein Ordenskleid und einen Sarkophag!

Gönnt mir die kleine Zelle,weiht mich ein,
mehr als die Hälfte dieser Welt war mein.

Das Haupt,das nun der Scheere sich bequemt,
mit mancher Krone ward's bediademt.

Die Schulter,die der Kutte nun sich bückt,
hat kaiserlicher Hermelin geschmückt.

Nun bin ich vor dem Tod den Toten gleich,
und fall' in Trümmer,wie das alte Reich.

夜だ 嵐はうなり続けている ずっと ずっと
イスパニアの僧侶たちよ 私のためその扉を閉じよ!

ここで休ませてくれ 鐘の音が私を目覚めさせるまで
教会での祈りへと駆り立てる鐘の音が

支度してくれ そなたらの僧院にあるものを
修道僧の衣とひとつの石棺を!

私に小さな僧房を与え 秘蹟を授けよ
この世界の半分以上が私のものだったのだ

この頭は 今や剃髪を受け入れてはいるが
いくつもの王冠でかつては飾られていたのだ

この肩は 今は僧服を纏ってはいるが
皇帝のアーミンの毛皮で飾られていたのだ

今私は死を目前にして 死者となったも同じ
廃墟のうちに崩れ落ちるのだ 古い帝国のように


1556年、カールはスペインのサン・ユスト修道院に向かい、そこをついの棲家とします。
そこを訪れた際の情景をプラーテンは想像力豊かに描写します(恐らく堂々たる大名行列で修道院を実際は訪れたのでしょうが)、ここでは栄誉のすべてを失った世捨て人がひとり修道院の門を叩く描写としています。

( 2003.10.04 藤井宏行 )


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