La grenouille américaine Ludions |
アメリカのヒキカエル 潜水人形 |
La gouénouille améouicaine Me regarde par-dessus Ses bésicles de futaine. Ses yeux sont des grogs massus Dépourvus de jolitaine. Je pense à Casadesus Qui n’a pas fait de musique Sur cette scène d’amour Dont le parfum nostalgique Sort d’une boîte d’Armour. Argus de table tu gardes L’âme du crapaud Vanglor Ô bouillon qui me regardes Avec tes lunettes d’or. |
アメウィカのヒキガエルが ぼくを見つめる そのど派手なメガネ越しに その目はギョロリと馬鹿でかく まるで可愛くない ぼくはカサドシュのことを考える 演奏しなかった彼のことを こんな愛のシーンでは そのノスタルジックな香りが アーモアの缶から立ち上る テーブルの上のアーガスよ、おまえは持ってる おまえのヒキガエルのバングローの魂 おおブイヨン ぼくを眺めている おまえのその金色のメガネで |
アメリカ(アメリカ英語風に訛って「アメウィカ」になってますが)ということもあって、ジャズっぽくもちょっと洒落たケークウォークのダンスのリズムに乗ってユーモラスに歌われます。ただ歌詞は全くの難物。率直に言いましてさっぱり分かりませんでした。
Grenouilleはカエルという意味ですが、窪田氏は娼婦と訳されています。恐らくスラングとしてそういう意味があり、ここでもそんなニュアンスをフランスの人たちは感じるのかも知れませんが、私はカエルで辻褄が合っているように思いましたのであえてそのままにしています。
カサドシュというのは恐らくフランスのピアニスト、ロベール・カサドシュ(1899-1972)。つい三十数年前まで存命でしたので年配のクラシック音楽ファンにはおなじみの名前でしょうか。
アーモア(Armour)とありますのは、色々調べてみるとビーフなどの缶詰を作っている食品メーカーのようです。そうするとやはり辞書になかった固有名詞のアーガスやバンクローといったところも同じように食品メーカーの名前でしょうか。
私が感じたのは、アメリカ風のジャンクフードの一群をテーブルにならべて、でっぷり太ってメガネをかけているカエルと向かい合って座っているという光景。実にシュールです。アメリカの実験映画のよう。聴いていてアンディ・ウォーホールのポップアートを思い浮かべてしまいました。
( 2009.08.17 藤井宏行 )