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Air du rat    
  Ludions
ネズミの唄  
     潜水人形

詩: ファルグ (Léon-Paul Fargue,1876-1947) フランス
      Air du rat

曲: サティ (Alfred Erik Leslie Satie,1866-1925) フランス   歌詞言語: フランス語


Abi Abirounère
Qui que tu n’étais don?
Une blanche monère
Un jo
Un joli goulifon
Un oeil
Un oeil à son pépère
Un jo
Un joli goulifon.

アビ-アビルネール
お前はセレブじゃなかったのかい?
白いアメーバーちゃんよ
か、
かわいい口元
目、
目は父ちゃんそっくりだ
か、
かわいい口元


シュールな詩に不思議な音楽。サティの作品としては指折りの傑作ではないかと私の思っている歌曲集Ludions(邦題では「潜水人形」と普通訳されます。これが何かというと恐らくやわらかい瓶の中に入って水の中に浮かんでいる人形のおもちゃ。瓶を押さえると浮いたり沈んだりするというアレでしょうか)。コミカルで陽気な曲から憂鬱で深遠な曲まで多彩なラインナップ。そして翻訳はフランス語の語呂合わせなどもあって語学の知識のロクにない私に取っては非常に難物でした。世の中に流布しているこの歌曲の恐らく唯一の邦訳である窪田般彌のもの(いくつか別の方が訳者でクレジットされているものもありましたが、内容はほとんど窪田訳と差がありませんでしたので)を参考にさせて頂きながら、私のできる限り自力で調べた解釈も加えています。
詩人のレオン・ポール・ファルグ(1878-1947)はパリ生まれの象徴派詩人。モーリス・ラヴェルの親友としても良く知られた人で、ラヴェルも彼の詩に曲を付けていますが、やはり彼の詩のスタイルに絶妙にはまっているのはこちらのサティの音楽の方でしょう。強烈な世界が展開しています。

さて、第一曲はぽつり・ぽつりとおどけてつぶやくちょっとばかりのんびりとした歌。フランス語の響きがとてもユーモラスです。意味は訳していてもさっぱり分かりませんでしたけれども。
Donというのは、窪田氏は「貴族」と訳されていましたが、辞書によればgiftedといったニュアンスで、才能や財産に恵まれた人を広く指しているような感じの言葉のようですね。「天才」と訳しても良いように思いましたが、ここではこんな感じでごまかしました。多くの英訳では「お前は何もんだ?」というような訳になっておりましたけれども。

( 2009.08.17 藤井宏行 )


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