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Das Wiegenfest zu Gent   Op.99-1  
  Keiser Karl V
ヘントの町の誕生祭  
     皇帝カール五世

詩: グリューン (Anastasius Grün,1806-1876) ドイツ
      Das Wiegenfest zu Gent

曲: レーヴェ (Johann Carl Gottfried Loewe,1796-1869) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Es steht eine gold'ne Wiege
am Fuß des Herrscherthrons,
der Fürst beschaut die Züge
des neugebornen Sohns.

Rings an des Thrones Wänden,
den Mund an Wünschen reich,
stehn,nicht mit leeren Händen
die Grossen in dem Reich.

Frau Margareth die Holde
bracht' ihr Geschenk nun dar:
ein Kindlein war's von Golde
gar künstlich wunderbar.

Es ruht in des Kindes Händen
von klarem Kristalle so fein
ein Kelch voll schimmernder Spenden
an Perlen und Edelgestein.

Sie sprach: “O wahre immer
den Kindersinn so rein,
auf ird'schen Tand und Schimmer
blickst du dann lächelnd drein!”

Drauf trat der Wieg' entgegen
von Bergen der Dynast.
Er bracht' einen güldnen Degen,
mit seidener Schärp' umfaßt:

“Sei stark! dich schützend schwinge
die Kraft ihr Schwert von Erz!
Sei mild! die Mild' umschlinge
als weiches Band dein Herz!”

Dann trug zwei Himmelsgloben
der Astronom herein,
drauf Sonn' und Gestirn' erhoben
aus Schmelz und buntem Gestein:

“Nach oben schaue gerne,
blick' oft zum Licht hinauf,
dann nehmen wohl auch die Sterne
einst deinen Namen auf.”

Es kam ein Prälat gegangen,
der eine BIbel trug
mit diamantenen Spangen
und gold'nem Deckel und Bug:

“Willst du in Schlummer dich neigen,
das süßeste Kissen ist dies!
Willst in dem Himmel du steigen,
die beste Staffel ist dies!”

Drauf nahte aheinz von Yssel,
das war des Herzogs Narr,
der bracht' auf grosser Schüssel
einen kleinen Kirschkern dar:

“Ein Samenkorn in der Erde,
dir,Wiegekind,ist es gleich!
Aus beiden kann noch was werden,
die Keime ruhen in euch!”

Er pflanzt' im Garten daneben
den Keim gar sorgsam ein,
das freilich konnt' er nicht geben,
was ihm noch fehlt zum Gedeihn.

Der Erde warmen Segen,
Tauperlen spät und früh,
und Sonnenschein und Regen,
die kamen,man weiß nicht wie?

Der Keim schoß auf zum Baume
gar reich an Laub und Frucht,
in dessen schattigem Raume
der Waller Labung sucht.

Das Kind,das die Wiege hüllte,
ein Mann ward's,Fürst und Held:
der fünfte Karol erfüllte
mit seinem Namen die Welt.

黄金の揺りかごがひとつ置かれている
王の玉座の足元に
公は顔立ちをじっとみつめる
生まれたばかりの息子の

王座の壁のまわりには
豊かな祝福を口に
立っている 手に献上の品を持ち
王国の貴族たちが

マルガレーテ大公妃 かの優しきお方が
贈り物を授けられた
子どもの像だ 黄金でできた
見事なまでの精巧さの

幼な子の手の中にあるのは
澄んだ美しい水晶でできた
杯だ それは捧げもので一杯に満ちている
真珠や宝石の

彼女は言った:おおいつまでも持ち続けなさい
清らかな子供の心を
この世のささいなつまらぬことも
それで笑って眺めていられるでしょう!

揺りかごに向かって歩み寄るは
ベルゲンの領主
彼は一振りの金の短剣を捧げた
彼の飾り紐が巻かれた

強くあれ!御身を護って
力がその青銅の剣を振るってくれますように!
優しくあれ!穏やかに取り巻いてくれますように
その柔らかな紐のように 御身の心を!

それから天体儀をふたつ
天文学者が運び込んだ
その上には太陽と星座が輝いていた
エナメルや色とりどりの宝石でつくられた

高みを喜んで見やり
しばしば光を眺めれば
きっと喜んで星たちも認めましょう
あなた様の名を

ひとりの司祭がやって来た
聖書を一冊持って
ダイヤモンドの飾りと
金の表紙と背表紙のついた聖書を

あなた様が眠りにつかれるときには
これがいちばん心地よい枕です!
あなた様が天国へ昇られるときには
これが最高の階段です!

そこへ近づいたのはハインツ・フォン・イッセル
彼は侯の道化であった
持ってきたのは大きな鉢の上の
一粒の小さなサクランボの種

土の中の種の一粒は
あなた様 ゆりかごの赤ん坊と同じです!
どちらからもこれからなれるのですよ
芽が安らいでいる あなた方の中で!

彼は植えたのだ 庭の隅に
その種を 心を込めて
自由に与えることはできなかったけれども
それが立派に育つのに必要なものを

大地の暖かい祝福と
夜や早朝の露の珠
そして太陽の光と雨とが
もたらされ そしてどうなったかお分かりか?

種はあっという間に木に育ち
葉と実とをたわわに繁らす
その木陰の空間には
巡礼が憩いを求めるのだ

揺りかごの中の子は
男になった 君主に 英雄に
カロル五世はとどろかせたのだ
その名を 世界中に


4曲からなる歌曲集「カール五世」 神聖ローマ皇帝となったこの皇帝、ヴェルディのオペラ「エルナーニ」や「ドン・カルロ」にも登場します(ドン・カルロでは死後の亡霊?としての登場ですが)。その誕生から死までを描き出しています。興味深いのは詩人が4曲で揃っていないことで、第1曲と4曲目がグリューンの詩、第2曲はホールフェルトによるそして第3曲はアウグスト・フォン・プラーテンの詩です。
微妙にスタイルも違うのでしょうか、恐らく唯一全曲が聴けるCPOレーベルのレーヴェ歌曲全集でも歌手を違えてバラバラに収録されています。

 第1曲はカール誕生の場面(1500)です。場所はブルゴーニュ公国、現在はオランダにある都市ヘント(ガンという表記も) マルガレーテはカールの叔母にあたる人物。ベルゲンとあるのはノルウェーの町ではなくてBergen op Zoomのことでベルギーのモンスのオランダ語名のようです。
 新生児カールに贈られる祝いの品々は様々な未来の象徴でしょうか。赤子の未来を祝う気持ちで満ち溢れています。
 レーヴェの音楽は揺りかごが揺れるような音型で始まり、それぞれの贈り物の場面ごとに性格を変えて行きます。最後の2節の前で揺りかごの音型が戻ってきて大樹とカールの生涯を重ねあわせ、第1曲を堂々と締め括るのでした。

( 2003.10.01 藤井宏行 )


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