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Tak chto zhe?   Op.16-5  
  6 Romansov
だけどそれが何なの?  
     6つのロマンス

詩: チャイコフスキー (Pyotr Ilyich Tchaikovsky,1840-1893) ロシア
      Так что же?

曲: チャイコフスキー (Pyotr Ilyich Tchaikovsky,1840-1893) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Tvoj obraz svetlyj,angel’skij
I denno i noshno so mnoj;
I slezy,i grezy,
I zhutkie,strashnye sny,
Ty vse napolnjaesh’ soboj!
Ty vse napolnjaesh’ soboj!
Tak chto zhe? CHto zhe? CHto zhe?
Khot” much’,da ljubi!

Ja tajnu strasti pagubnoj
Gluboko khoronju;
A ty korish’,stydom jazvish’!
Ty tol’ko terzaesh’ menja
Bezzhalostnoj,gruboj nasmeshkoj,
Bezzhalostnoj,gruboj nasmeshkoj!
Tak chto zhe? chto zhe? chto zhe?
Terzaj,da ljubi!

Tebe do groba veren ja,
No ty kazhdyj den’,kazhdyj chas
Izmenoju jad v serdtse l’esh’
Ty zhizn’ otravljaesh’ moju!
Net,ja ne snesu etoj muki!
Net zhalosti v serdtse tvoem!
Tak chto zhe? chto zhe? chto zhe?
Ubej,no ljubi!

あなたの輝くイメージ、天使のような姿は
昼も夜も 私と共にあるの
涙にも、夢にも、
そして恐ろしい悪夢にも
あなたばかりがいつも現れる!
あなたばかりがいつも現れる!
だけどそれが何?何?何だというの?
私を苦しめるがいいわ、でも愛してちょうだい!

私はこの破滅に至る秘めた情熱を
心深く沈めている
でもあなたは非難を浴びせ
恥辱をもて痛めつけるの!
容赦無い、残酷なあざけりで
容赦無い、残酷なあざけりで
だけどそれが何?何?何だというの?
私を苦しめるがいいわ、でも愛してちょうだい!

あなたに死ぬまで誠を尽くすわ 私は
なのにあなたは毎日、毎時間 
その不実さで私の心に毒を盛る
あなたは私の人生に毒を盛るの!
いいえ、私はこの苦しみには耐えられない
あなたの心にはやさしさのかけらもないのだから
だけどそれが何?何?何だというの?
殺してよ、でも愛してちょうだい!


チャイコフスキーが自作の詩に付けた歌曲というのは全部で3曲ありますが、これはその中でも一番最初のものです。3曲がそれぞれに個性的な愛の姿を歌っていますが、これは最も濃い情念を描き出しているでしょうか。ドロドロの演歌、いや怨歌の風情です。
「だけどそれが何さ」と強がっているところで一瞬メロディが明るく、穏やかになりますが、すぐにまた暗く激しい情念がぶつけられます。
男の書いた詩ではありますが、女声によって歌われることが多いこともあり、ここではかなり偏見に満ちた訳し方ではありますが女性っぽく訳してみました。女声でしか私はこの曲は聴いたことがありませんし。
「殺してちょうだい」なんて言っているところはまるで気性の激しいジプシー娘のことを連想させますが、音楽がついてみるとOp.16-3「少しでも分かってください」と比べて聴いたら、なんだか恋の駆け引きをしているような余裕を感じました。音楽があちらほど切迫しておらず、ところどころで息を抜いているのがある種のゲーム感覚ということなのでしょうか。聴きこむほどに面白さが感じられる作品です。

( 2009.08.01 藤井宏行 )


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