Better Times Are Coming |
より良き時代がやってくる |
There are voices of hope that are borne on the air, And our land will be freed from its clouds of despair, For brave and true men to battle have gone, And good times,good times are coming on. (chorus:) Hurrah! Hurrah! Hurrah! Sound the news from the din of the battle booming, Tell the people far and wide that better times are coming. Abra'm Lincoln has the army and the navy in his hands, While Seward keeps our honor bright abroad in foreign lands; And Stanton is a man,who is sturdy as a rock, With brave men to back up and stand the battle's shock. (chorus:) Hurrah! Hurrah! Hurrah! Sound the news from the din of the battle booming, Tell the people far and wide that better times are coming. Now McClellan is a leader and we'll let him take the sway, For a man in his position,he should surely have his way. Our nation's honor'd Scott,he has trusted to his might, Your faith in McClellan put for we are sure he's right. (chorus:) Hurrah! Hurrah! Hurrah! Sound the news from the din of the battle booming, Tell the people far and wide that better times are coming. Generals Lyon and Baker and Ellsworth now are gone, But still we have some brave men to lead the soldiers on; The noise of the battle will soon have died away, And the darkness now upon us will be turn'd to happy day. (chorus:) Hurrah! Hurrah! Hurrah! Sound the news from the din of the battle booming, Tell the people far and wide that better times are coming. Generals Sigel and Halleck they have conquered in the West, And Burnside,victorious,he rides the ocean's breast, The traitors and the rebels will soon meet their doom; Then peace and prosperity will dwell in every home. (chorus:) Hurrah! Hurrah! Hurrah! Sound the news from the din of the battle booming, Tell the people far and wide that better times are coming. Captain Foote is commander of the Mississippi fleet, For his flag he strikes and makes the traitors beat a quick retreat; With iron-clad gun-boats he makes the rebels run, While Grant makes our colors wave and glitter in the sun. (chorus:) Hurrah! Hurrah! Hurrah! Sound the news from the din of the battle booming, Tell the people far and wide that better times are coming. General Fremont the path-finder never lags behind, He is gone to the mountains,new pathways to find. His voice is for freedom,and his sword is for the right, Then hail! noble Fremont the nation's delight. (chorus:) Hurrah! Hurrah! Hurrah! Sound the news from the din of the battle booming, Tell the people far and wide that better times are coming. From the land of the Shamrock there's stuff that never yields, For we've brave Colonel Corcoran,and gallant General Shields; From Meagher soon we'll hear,for we know that he is true, And stands for the honor of Red,White and Blue. (chorus:) Hurrah! Hurrah! Hurrah! Sound the news from the din of the battle booming, Tell the people far and wide that better times are coming. Here's health to Captain Ericsson,the Monitor and crew, Who slowed the southern chivalry a thing they never knew; The Merrimac has slayed as St. Patrick did the toads, Till Worden with the Monitor came into Hampton roads. (chorus:) Hurrah! Hurrah! Hurrah! Sound the news from the din of the battle booming, Tell the people far and wide that better times are coming. |
大気に乗って運ばれてくる希望の声 われらが地は絶望の暗雲から解放されるであろう 勇敢で誠実な人々が戦場へと向かったがゆえに すばらしき時代が すばらしき時代がやってくるのだ (コーラス) バンザイ バンザイ バンザイ この知らせを響かせよ 戦いの轟音が沸き起こるところから 人々に遠く 広く伝えるのだ よりよき時代がやってくると エイブラハム・リンカーンは陸軍と海軍を手中にした スワードは明るきわれらの名誉を国外において守っている そしてスタントンは男だ、彼は岩のようにたくましい 彼を支え、戦いの衝撃に耐える勇敢な男たちと共にある (コーラス) バンザイ バンザイ バンザイ この知らせを響かせよ 戦いの轟音が沸き起こるところから 人々に遠く 広く伝えるのだ よりよき時代がやってくると さあマクレランはリーダーだ われらは彼に権限を与えよう あのような地位にあれば、彼は間違いなく自分のやり方を取るべきだ わが国の誇るスコットも彼の力を信頼している 諸君のマクレランへの信頼は植えつけられた なぜなら我らは彼が正しいと信じるからだ (コーラス) バンザイ バンザイ バンザイ この知らせを響かせよ 戦いの轟音が沸き起こるところから 人々に遠く 広く伝えるのだ よりよき時代がやってくると ライアンやベイカー それにエルスウォースといった将軍たちは斃れた だがわれらにはまだ兵士たちを率いる勇敢な男たちがいる 戦いの轟音はすぐに消え去るであろう そしてわれらの上に今ある暗闇も幸せな太陽に替わるのだ (コーラス) バンザイ バンザイ バンザイ この知らせを響かせよ 戦いの轟音が沸き起こるところから 人々に遠く 広く伝えるのだ よりよき時代がやってくると シーゲルやハレック将軍たち 彼らは西部を征服した そしてバーンサイド、勝利に満ちて、彼は大西洋の懐を騎行する 裏切り者や反逆者たちはすぐにその報いを受けるであろう そして平和と繁栄がすべての家にもたらされるのだ (コーラス) バンザイ バンザイ バンザイ この知らせを響かせよ 戦いの轟音が沸き起こるところから 人々に遠く 広く伝えるのだ よりよき時代がやってくると フット提督はミシシッピ艦隊の司令官だ その旗のもと 彼は裏切り者どもを打ち破り素早い退却を導き 鉄の装甲の軍艦で 彼は反逆者たちを追い散らす 他方グラントはわれらの軍旗をはためかせ 太陽の中で輝かせる (コーラス) バンザイ バンザイ バンザイ この知らせを響かせよ 戦いの轟音が沸き起こるところから 人々に遠く 広く伝えるのだ よりよき時代がやってくると フレモント将軍は決して遅れをとることのない先鋒だ 彼は山々を登り、新たな攻め口を見出した 彼の声は自由のためにあり、彼の剣は正義のためにある それゆえ歓呼せよ! 高貴なるフレモント この国の喜びに向けて (コーラス) バンザイ バンザイ バンザイ この知らせを響かせよ 戦いの轟音が沸き起こるところから 人々に遠く 広く伝えるのだ よりよき時代がやってくると シャムロックの地からは絶対に破られないスタッフがやってきた 我らには勇敢なコーコラン大佐があり、雄々しきシールズ将軍がある マハーからはすぐに知らせがあるだろう、我らは彼が誠実だと知っている そして赤白青の三色の栄誉に依って立っていることを (コーラス) バンザイ バンザイ バンザイ この知らせを響かせよ 戦いの轟音が沸き起こるところから 人々に遠く 広く伝えるのだ よりよき時代がやってくると さあエリクソン提督、モニター号とその乗組員たちの健康を 彼らは南部の騎士たちが見たこともないようなものを見せつけたのだ かのメリマック号は聖パトリックが蛇にしたように残酷だった ウォーデンがモニター号と共にハンプトンロードにやってくるまでは (コーラス) バンザイ バンザイ バンザイ この知らせを響かせよ 戦いの轟音が沸き起こるところから 人々に遠く 広く伝えるのだ よりよき時代がやってくると |
南北戦争が始まって1年目の1862年に書かれた「そいつが問題 That’s What the Matter」と同じく歌詞もフォスター自身の手になる時事ソングです。あちらと同じように装甲艦モニター号の話題が最後に出ていますので同じ年の春ごろの作品でしょうか。ミリタリー系のお好きな方にとっては恐らく嬉しくなってしまうであろうほどに南北戦争、北軍のこの時期の主要メンバーが取り上げられていますので興味深いところではないでしょうか。私はさほどミリタリーおたくというほどこの世界に詳しいわけでもなかったので、Wikipediaなどを活用させて頂きいろいろ調べてみましたが、日本語のウィキでさえもこの戦争関連の記述が非常に詳しいのには驚かされました。
最初のリンカーンについては解説は不要でしょう。その次に出てくるスワード(スーアードの表記もあり)、は当時の国務長官。この戦争における北部の正当性を欧州諸国に認めさせる役回りの人です。スタントンは陸軍長官、軍人ではなく戦争の前には司法長官を務めていたようです。シビリアンコントロール下における背広組の長(防衛大臣)といったところでしょうか。
対してその次に出てくるマクレランというのが北軍の最高司令官だった人です。戦闘そのものではあまり功績は挙げられなかったようですぐにリンカーンに解任されていますが、にわかづくりの軍の戦闘能力を高めたことに関しては後世の評価も高い人です。その次に出てくるスコットというのがマクレランの前任者でしたが、この戦争当時はもう70歳過ぎという高齢でした。南北戦争以前のアメリカの関わった多くの戦争で功績をあげ、当時の国民的人気もずば抜けて高いものがあったようです。
その次の連に出てくる将軍たちはこの時期までに戦死をした北軍の師団・連隊長クラスの人たち、戦争が長引くにつれて兵士の不足も深刻でしたが、それに輪をかけて有能な指揮官の不足は両軍を悩ませたようです。
シーゲル、ハレックが征服したとある西部とは決して西部劇のあったはるかな西部ではなく、戦場となった地域の中での西部、ミシシッピ川の流域など現在のアメリカ合衆国の中でも中東部にあたる地域です。
面白いのはシーゲルはもともとドイツの軍人でアメリカ移民後に再びこの戦争で活躍した人だということです。そのミシシッピ戦線で活躍していた当時の実務者が、海軍ではフット提督であり、陸軍ではのちに北軍の総司令官となって北軍を勝利へと導いたグラントでした。
そのあとのフレモント将軍とあるのはよく分からなかったのですが、ジョン・C・フレモントのことではないかと思われます。彼はリンカーンが大統領になったひとつ前の大統領選挙に共和党より立候補し、民主党の候補ジェームス・ブキャナンに敗れています。当時はミズーリ州の戦線の司令官をしていたのだそうです。
次の節にあるシャムロックというのは3つ葉のクローバー、アイルランドの国花となっていることからも推測されるようにこの「シャムロックの地」とはアイルランドのことです。この連に名のある人たちは皆アイルランド出身で、とくにコーコランはアイルランド系移民の志願兵による部隊を指揮し当時から名高かった人でした。またマハーは若いころはアイルランドでイギリスからの独立のために戦った経歴を持つのだそうです。赤白青の三色の栄誉とはアメリカ合衆国の国旗に使われている三つの色のことでしょう。
最後は「That’s What the Matter」でも話題となっていたエリクソン開発の北軍の装甲艦モニター号と、南軍の装甲艦メリマック号との戦いです。メリマック号の脅威を表わすのにアイルランドのカトリックの聖人パトリックを引き合いに出していますが、伝説によればこの聖パトリック、アイルランドの毒蛇を退治つくしたために現在でもアイルランドに蛇はいないのだそうです。キリスト教の聖人がslayなんてことをすると歌われているのには少々違和感がありましたが、古い民族信仰と混じり合っているところもあるのでしょうか。
とまあ歌詞は非常にマニアックなのですが、音楽は「That’s What the Matter」と同じように景気のいい快活な音楽。「フラー(「バンザイ」と訳しましたが、どちらかというと「それいけ」「そうだ」「いてまえ」といった感じのニュアンス。運動会の応援などで今でも使われる「フレー」の語源です)」で答えるコーラスの威勢の良さも含めてなかなかに楽しいです。これもなぜか不思議なことに「フォスターの夜会」というCDに収録されていますので今でも容易に聴けるものと思います。ご興味がおありの方はぜひどうぞ。
( 2009.06.27 藤井宏行 )