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Willie Has Gone to War    
 
ウイリーは戦場に行ってしまった  
    

詩: クーパー (George Cooper,1840-1927) アメリカ
      

曲: フォスター (Stephen Collins Foster,1826-1864) アメリカ   歌詞言語: 英語


The blue bird is singing his lay,
To all the sweet flow'rs of the dale,
The wild bee is roaming at play,
And soft is the sigh of the gale;
I stray by the brookside alone,
Where oft we have wander'd before,
And weep for my lov'd one,my own,
My Willie has gone to war!

(Chorus)
Willie has gone to war,
Willie,Willie my lov'd one my own;
Willie has gone to war,
Willie,Willie my lov'd one is gone.


'Twas here,where the lily bells grow,
I last saw his noble young face,
And now while he's gone to the foe,
Oh! dearly I love the old place;
The whispering waters repeat
The name that I love o'er and o'er,
And daisies that nod at my feet,
Say Willie has gone to war!

(Chorus)
Willie has gone to war,
Willie,Willie my lov'd one my own;
Willie has gone to war,
Willie,Willie my lov'd one is gone.


The leaves of the forest will fade,
The roses will wither and die,
But spring to our home in the glade
On fairy like pinions will fly;
And still I will hopefully wait
The day when these battles are o'er,
And pine like a bird for its mate,
Till Willie comes home from the war!

(Chorus)
Willie has gone to war,
Willie,Willie my lov'd one my own;
Willie has gone to war,
Willie,Willie my lov'd one is gone.

青い鳥は歌を歌いかける
谷間の可愛らしい花たちすべてに向かって
野のミツバチは遊び 飛び回る
そしてやさしいそよ風の溜息
わたしは小川のそばをひとりさまよう
かつてふたりでそぞろ歩いた場所を
そしてわたしの愛した人を思って泣くの、わたしだけの
わたしのウイリーは戦場に行ってしまった!

(合唱)
ウイリーは戦場に行ってしまった
ウイリー、ウイリーわたしの愛した人 わたしだけの
ウイリーは戦場に行ってしまった
ウイリー、ウイリーわたしの愛した人 わたしだけの


ここよ、ユリの花が咲いてるところ
わたしが最後に彼の気高く若々しい顔を見たのは
そして今彼が敵のところへ行っている間も
おお!わたしはこの懐かしい場所が好き
ささやく水は繰り返す
わたしの愛する人の名を何度も何度も
そして私の足元で頷くデイジーの花たちは
こう言うの ウイリーは戦場に行ってしまったと!

(合唱)
ウイリーは戦場に行ってしまった
ウイリー、ウイリーわたしの愛した人 わたしだけの
ウイリーは戦場に行ってしまった
ウイリー、ウイリーわたしの愛した人 わたしだけの


森の木の葉は枯れてしまうでしょう
バラもしおれて死んでしまうわ
でも森の中の私たちの故郷に春が来たら
妖精のような翼の鳥たちが飛ぶでしょう
そしてずっと私は希望を持って待っているわ
この戦争が終わる日を
そしてつがいを求める小鳥のように思い焦がれるの
ウイリーが戦争から帰ってくるまでは!

(合唱)
ウイリーは戦場に行ってしまった
ウイリー、ウイリーわたしの愛した人 わたしだけの
ウイリーは戦場に行ってしまった
ウイリー、ウイリーわたしの愛した人 わたしだけの

フォスターにとって、ウイリーという名前の主人公は特別な意味を持っていたようです。その名前がタイトルについているのは全部で5曲。作曲順に並べますと、
  Willie My Brave (1851)
  Willie We Have Missed You (1854)
  Our Willie Dear is Dying (1861)
  Willie's Gone to Heaven (1863)
  Willie Has Gone to War (1863)
勇敢なウイリーは戦場に行って、残された者たちは彼がいなくて寂しく思う。不幸にして彼は戦死し、天に召されてゆく、といったところでしょうか。初めの2曲は南北戦争前の作品ですのであまり戦争との関係はないのでしょうけれども、後半3曲はやはりこの戦争の影を引きずった作品である、と言っても良いのではないかと思います。そしてご紹介したこの曲はタイトルからしてそのものズバリの作品。歌詞をご覧頂ければお分かりのように故郷に残された彼の恋人が戦場から彼の帰りをひたすら待ち望むという歌です。また注目すべきはこれら5曲のうち、この曲だけが作曲者自身の作詞ではないということです。
フォスターの最晩年(と言っても30代後半ですが)である1863年から64年にかけては作詞家のジョージ・クーパーと組むことが多くなっています。素朴で衒いのない自作の歌詞に比べると、やはり専門の作詞家の詞は濃厚な感じ、音にして聴いてみてもうまい響きだなあと思うこともしばしばです。この時期のフォスターの歌曲、もっともっと評価されても良いように思いますが、少なくとも日本ではほとんど紹介されていないでしょうか。現代のアメリカンフォークに通じる美しくも哀しい音楽。ベトナム戦争の頃にギター片手に当時のフォークシンガーたちに歌われていても全く違和感のない詩と音楽です。

( 2009.06.17 藤井宏行 )


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