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Nocturne   V.82  
  Trois Poèmes
夜想曲  
     三つの詩

詩: ルクー (Guillaume Lekeu,1870-1894) ベルギー
      

曲: ルクー (Guillaume Lekeu,1870-1894) ベルギー   歌詞言語: フランス語


Des prés lointains d'azur sombre
où fleurissent les étoiles,
descend,lente et précieuse,le caresse d'un long voile
d'argent pâli dans le velours de l'ombre.

Aux branches des bouleaux,des sorbiers et des pins,
la tenture suspend ses longs plis de mystère
où dort le sommeil des chemins
et l'oublieuse paix du rêve et de la terre.

L'air frais et pur,dans les feuillées,
Laisse mourir un lent soupir
Si doux qu'il semble le désir
Des défuntes vierges aimées

Cherchant l'invisible joyau
Que va berçant,près du ruisseau,
La chanson murmurante et douce.
De l'onde rieuse en la mousse...

La lune resplendit comme une agraffe d'or!
et,parfumant la plaine heureuse,
la bruyère s'endort
dans l'ombre lumineuse.

遠く離れた暗い青の野原
星たちで満ち溢れているところから
降りてくる、ゆっくりと正確に、長いヴェールの愛撫が
影のビロードに染められた銀の色をして

白樺やななかまどや松の枝に
夜の帳はその長い神秘的なひだを吊り下げ
そしてそこには小道の眠りと
夢と大地の忘れられた平安がまどろんでいる

さわやかで澄んだ大気は、木の葉の中で
ゆるやかな吐息を消え去るにまかす
とてもやさしく、願いに似た吐息を
もう死んでしまった愛らしい乙女たちの願いに

見えない宝石を捜しながら
小川のそばで眠る宝石を
つぶやき優しく歌う歌
泡の中で微笑む波の歌

月は金色の留め金のように輝く
そして幸せそうな野原を香らせながら
ヒースの茂みは眠っている 
月影の下で


第3曲目はピアノのほかに弦楽4重奏を入れて一層濃密な音楽とすることもあります。これもフォーレやショーソンの歌を思わせるところもありますが、一層楚々として儚げな雰囲気。かなりのマイナー作品にも関わらず熱いファンのいる作品のようです。この詩への引用はヴィクトール・ユーゴーから。出典は調べ切れませんでしたがかなりロマンティックな春の詩のようです。このルクーの詩も季節に言及はしていないですが、ほのかな幸福感のにじみ出る春の宵の情景なのでしょうか。

 ...Le printemps...,(...春...)
 A cette nuit,pour te plaire,(この夜には、君の喜びのために)
 Secoué sur la bruyère (茂みをかき乱して)
 Sa robe pleine de fleurs! (彼のマントは花でいっぱいだ!)

( 2009.08.22 藤井宏行 )


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