Der Nöck Op.129-2 Drei Balladen |
ネック 3つのバラード |
Es tönt des Nöcken Harfenschall: Da steht der wilde Wasserfall, Umschwebt mit Schaum und Wogen Den Nöck im Regenbogen. Die Bäume neigen Sich tief und schweigen, Und atmend horcht die Nachtigall. - “O Nöck,was hilft das Singen dein? Du kannst ja doch nicht selig sein! Wie kann dein Singen taugen?” Der Nöck erhebt die Augen, Sieht an die Kleinen, Beginnt zu weinen... Und senkt sich in die Flut hinein. Da rauscht und braust der Wasserfall, Hoch fliegt hinweg die Nachtigall, Die Bäume heben mächtig Die Häupter grün und prächtig. O weh,es haben Die wilden Knaben Der Nöck betrübt im Wasserfall! “Komm wieder,Nöck,du singst so schön! Wer singt,kann in den Himmel gehn! Du wirst mit deinem Klingen Zum Paradiese dringen! O komm,es haben Gescherzt die Knaben: Komm wieder,Nöck,und singe schön!” Da tönt des Nöcken Harfenschall, Und wieder steht der Wasserfall, Umschwebt mit Schaum und Wogen Den Nöck im Regenbogen. Die Bäume neigen Sich tief und schweigen, Und atmend horcht die Nachtigall. - Es spielt der Nöck und singt mit Macht Von Meer und Erd und Himmelspracht. Mit Singen kann er lachen Und selig weinen machen! Der Wald erbebet, Die Sonn entschwebet... Er singt bis in die Sternennacht! |
響くのはネックの弾くハープの音 そこでは荒れ狂う滝も静まり 泡と波に囲まれて ネックは虹の中! 木々はお辞儀する 深々と 何も言わず 息をのんで聴き入るのはナイチンゲール 「おいネックよ 歌ったところで何になる? どうせお前は祝福なんて受けられない! お前の歌はなんの役に立つんだい?」 ネックは目を上げ 小人たちをみて 泣き出して 水の流れに沈んでいった すると 滝はざわめきほとばしり 高くナイチンゲールは飛び去って 木々は力強く立ち上げる 緑かがやくその梢を おお悲しい なんたること 乱暴なこどもたちが ネックを悲しませて滝の中に追いやるなんて! 「戻っておいでよ ネック お前はとっても美しく歌う! 歌えば、天国に行くことができるのさ! おまえの歌の響きがあれば パラダイスまでまっしぐら! おお おいでよ 子供たちはからかっただけさ 戻っておいで ネック そして素敵に歌っておくれ!」 するとネックのハープの音が響き 滝はふたたび静まって 泡と波に囲まれて ネックは虹の中! 木々はお辞儀する 深々と 何も言わず 息をのんで聴き入るのはナイチンゲール ネックは弾いて、そして歌う 力をこめて 海と大地のことを そして天の輝きを! 歌えば皆を笑わすこともできれば うれし泣きだってさせられる 森は揺れて お日さまはてっぺんに浮かんでる ネックは歌う 星の降る夜がくるまで |
ここで歌われている「川辺でハープを弾いて歌うが、歌ってなんの役に立つ、天国へはゆけないぞと子供や僧侶にからかわれ、泣き出して水の中へ戻ってゆく」という言い伝えは北欧のニコルという水の精に関するものなのだそうです。ネッカル川にすむ水の精ネックとそれが同一視されたのでしょうか。
レーヴェの音楽ではピアノパートがネックのハープの音を見事に描写し、それはまた虹を生じさせる細かな水飛沫でもあるようです。その音は子供達にからかわれたネックが水の中へ消えていく場面でいったん途切れますが、呼び戻されたネックの復帰とともに鳴り出し、最後の一連ではよりいっそう力強く奏でられます。また歌のパートにおける息の長いコロラトゥーラもこの曲の特徴。レーヴェのバラードの中では特に詩情あふれる一品です。
( 2009.04.30 藤井宏行 )