Sur une tombe V.82 Trois Poèmes |
墓前にて 三つの詩 |
La printanière et douce matinée est pleine du parfum des nouvelles fleurs; La caresse du vent berce les jeunes feuilles du parc silencieux du Mystère de la Mort. Sous ces roses,dont jadis tu as aimé les soeurs, tu reposes,tu reposes pure,inoubliable Amie, en ton immortelle pâleur. Les soirs d'hiver,où ma pensée a revécu ton souvenir,se sont enfuis; et c'est ta tombe qu'aujourd'hui j'ai voulu revoir. Oh! puisses-tu,de cette tombe aimée où les violettes et les roses protègent doucement ton paisible sommeil, puisses-tu respirer la senteur triste et tendre de l'immortelle fleur qu'en mon coeur fit éclore notre Amour éternel,notre Amour éternel! |
この春のさわやかな朝は 新しい花の香りで満たされている 風の愛撫は若葉を揺らす この静かな神秘と 死の庭の バラの木の下、かつて君が愛した姉妹たちの下で 君は憩う、君は静かに憩う、忘れられない友は 永遠に蒼ざめた顔で 冬の夕暮れには、私の頭の中に 君への思い出がよみがえっていたが、それも今は終わり そして今君の墓の前にいる、もう一度見たいと思っていた墓の前に おお!君にできたなら、この愛された墓から このスミレやバラが 君の安らかな眠りを守っているところから この悲しくも柔らかな香りをかぐことができたなら あの不滅の花の香りを、それは私の心の中に育まれたのだ 私たちの永遠の愛によって、私たちの永遠の愛に! |
自作の詩につけた3曲からなる作品。彼のロマンティックなスタイルがうまく出ていてなかなかに素晴らしい音楽揃いです。代表作であるヴァイオリンソナタを別格とすれば、この曲も比較的よく聴かれるものではないでしょうか。3曲3様の詩と音楽も多彩で面白いです。
またこの自作の詩で面白いのは、冒頭にそれぞれ別の大詩人の詩からの引用を載せていることで、この詩句と彼自身の詩との繋がりを見てみるのも面白いところがあります。
第1曲目の詩への引用はアルフォンス・ド・ラマルティーヌから。彼の作った歌曲「ケシの花」でも使っている詩からの引用です。
il suffit que l'on cueille(摘むだけで良い)
De quoi parfumer d'une feuille(たった一枚の花びらを)
L'oreiller du lit d'un cercueil.(棺の床の枕を香らせるためには)
ラマルティーヌの詩はこれから死に行く者の視点であるのに対し、ルクーのこの詩は死んでしまった恋人を墓前で懐かしむ残された者からの視点というのが違いますが、このつながりは面白いところです。
( 2009.08.22 藤井宏行 )