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Die schlanke Wasserlilie    
 
たおやかな睡蓮  
    

詩: ハイネ (Heinrich Heine,1797-1856) ドイツ
    Neue Gedichte - Neuer Frühling(新詩集-新しい春 1844) 15 Die schlanke Wasserlilie

曲: レーヴェ (Johann Carl Gottfried Loewe,1796-1869) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Die schlanke Wasserlilie
Schaut träumend empor aus dem See;
Da grüßt der Mond herunter
Mit lichtem Liebesweh.

Verschämt senkt sie das Köpfchen
Wieder hinab zu den Well'n --
Da sieht sie zu ihren Füßen
Den armen blassen Gesell'n.

たおやかな睡蓮が
夢見るように湖から空を見上げている
すると恋に焦がれた月が
光をさして挨拶する

彼女が恥じらい
再び波間に顔を伏せると
哀れに青ざめた若者が
水面に映っている


ハイネの詩ではレーヴェは、シューマンの作曲で有名な『蓮の花』にも作曲していますが、この『たおやかな睡蓮』という詩、ご覧の通り月に恋する蓮の花を描いた『蓮の花』の逆さま、まるでパロディです。ハイネには原曲と全く同じ『蓮の花』というタイトルのパロディ作品もあり、それは彼らしい皮肉でひねくれたものになっています。彼の皮肉や呪そが全然好きでないわたしは、彼の詩によるシューマンの『詩人の恋』もリーダークライス作品24もあまり好きではありません。しかしまるでメーリケのような『蓮の花』だけは例外で、同じ傾向のこの詩も好きです。それはハイネらしくないということでしょうが、2作もそのパロディ作を残したということは、よほど『蓮の花』が気に入っていたのか、あるいは後で恥ずかしくなったのか。おそらく後者ではないかと思いますが。

『たおやかな睡蓮』へのレーヴェの作曲は短調の悲歌風のもので、『蓮の花』も同じような感じです。両曲とも、白井光子さんが初期に録音した『花の歌曲集』というCD(独シグナム)に収められています。清楚な白井さんの声が、この詩の情景にぴったりです。このディスクは、他にミヨーの『花のカタログ』(フランス語)、シュトラウスの『ダリア』、作品22の4曲、ヴォルフの『クリスマスローズに1&2』、『わたしを花で覆ってね』などが収録されている楽しい企画盤でした。日本盤も一時出ていましたが、残念ながら現在廃盤で入手困難、復活を希望しています。

( 2002.01.16 甲斐貴也 )


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