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Son   Op.38-5  
  Shest’ stikhotvorenij
夢  
     6つの詩

詩: ソログーブ (Fyodor Sologub,1863-1927) ロシア
      Сон

曲: ラフマニノフ (Sergei Rachmaninov,1873-1943) ロシア   歌詞言語: ロシア語


V mire net nichego
Dozhdelennee sna,
Chary est’ u nego,
U nego tishina,
U nego na ustakh
Ni pechal’ i ni smekh,
I v bezdonnykh ochakh
Mnogo tajnykh utekh.

U nego shiroki,
Shiroki dva kryla,
I legki,tak legki,
Kak polnochnaja mgla.
Ne ponjat’,kak neset,
I kuda i na chem
On krylom ne vzmakhnet
I ne dvinet plechom.

この世界には何もない
夢ほどに素晴らしいものは
夢は魔力を持ち
夢は静かである
夢のくちびるには
悲しみも 笑いもない
そしてその底知れぬ瞳には
たくさんの秘められた喜びがある

夢は持っている
ふたつの大きな翼を
軽やかな、軽やかな
まるで夜の闇のような翼を
誰も知らぬ、どうやって運ぶのか
どこに 何を乗せて
夢は翼をはためかさないし
肩を震わせることもない

ラフマニノフの歌曲「夢 Son」といえば、ハイネの詩につけた初期の作品Op.8-5が圧倒的に有名です。あの熱情あふれる望郷の思いの吐露にくらべると、この最後の歌曲集Op.38にある「夢」は、夢の中でぼんやりと夢想しているかのような静かな、そしてちょっと物憂さも感じさせるような作品となりました。ピアノ伴奏の濃密な響きはドビュッシーのそれを思わせ、歌と微妙に絡み合いながら不思議な雰囲気をかもしだしています。

( 2009.04.01 藤井宏行 )


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