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Frühlingsglaube   Op.9-8  
  12 Lieder
春に思うこと  
     12の歌曲

詩: ウーラント (Johann Ludwig Uhland,1787-1862) ドイツ
    Lieder - Frühlingslieder 2 Frühlingsglaube (1813)

曲: メンデルスゾーン (Jakob Ludwig Felix Mendelssohn,1809-1847) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Die linden Lüfte sind erwacht,
Sie säuseln und wehen Tag und Nacht,
Sie schaffen an allen Enden.
O frischer Duft,o neuer Klang!
Nun,armes Herze,sei nicht bang!
Nun muß sich alles,alles wenden.

Die Welt wird schöner mit jedem Tag,
Man weiß nicht,was noch werden mag,
Das Blühen will nicht enden;
Es blüht das fernste,tiefste Tal:
Nun,armes Herz,vergiß der Qual!
Nun muß sich alles,alles wenden.

穏やかな大気は目覚めて
ささやき そよぐ 昼も夜も
そして生み出すのだ いたるところで
おお さわやかな香りを、おお 新しい響きを! 
さあ 哀れな心よ、不安な気持ちになるな!
今こそすべてが すべてが変わらねばならぬ

世界はどんどん美しくなる 来る日毎に
人には分からない、これからどうなるかなど
花の咲くことは限りなく
彼方の深い谷間にも花が咲く
さあ 哀れな心よ 苦しみなど忘れよ
今こそすべてが すべてが変わらねばならぬ


この詩につけた歌曲ではシューベルトのものがあまりに有名でしょうか、メンデルスゾーンの作品は彼の初期の歌曲ということもあり少々影が薄いですが、けっして魅力に乏しいわけではありません。決然とした意思を表すように力強く歌われるのはむしろこの詩の表しているところに良くマッチしているかも知れません。
タイトルにあるGlaubeには「信仰」という意味もあることから「春の信仰」というタイトルにされることもままありますが、詩を見る限りではそんな宗教的な感じはありません。また「春の想い」というタイトルもなんとなく春のムードに酔っているだけのようなニュアンスなので、この詩にはっきりと表明されている強い意思のようなものがうまく表せていない感じがします。いっそのこと「春の決意」とか「春の誓い」とでもしようかと思ったのですがこれは少々意訳に過ぎるようにも思えましたので、もう少し直訳に近く「春に思うこと」としてみました。

( 2009.04.01 藤井宏行 )


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