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Suleika   Op.57-3  
  6 Lieder
ズライカ  
     6つの歌曲

詩: ヴィレマー (Marianne von Willemer,1784-1860) ドイツ
    West-östlicher Diwan - 8. Buch Suleika -- Suleika Nameh  Suleika

曲: メンデルスゾーン (Jakob Ludwig Felix Mendelssohn,1809-1847) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Was bedeutet die Bewegung?
Bringt der Ost mir frohe Kunde?
Seiner Schwingen frische Regung
Kühlt des Herzens tiefe Wunde.

Kosend spielt er mit dem Staube,
Jagt ihn auf in leichten Wölkchen,
Treibt zur sichern Rebenlaube
Der Insekten frohes Völkchen.

Lindert sanft der Sonne Glühen,
Kühlt auch mir die heißen Wangen,
Küßt die Reben noch im Fliehen,
Die auf Feld und Hügel prangen.

Und mir bringt sein leises Flüstern
Von dem Freunde tausend Grüße;
Eh' noch diese Hügel düstern,
Grüßen mich wohl tausend Küsse.

Und so kannst du weiter ziehen!
Diene Freunden und Betrübten.
Dort wo hohe Mauern glühen,
Dort find' ich bald den Vielgeliebten.

Ach,die wahre Herzenskunde,
Liebeshauch,erfrischtes Leben
Wird mir nur aus seinem Munde,
Kann mir nur sein Atem geben.

このそよぎは何を告げようとしているの
東風が私に嬉しい便りを運んできたのかしら?
風の翼の爽やかな動きは
心の深い傷を冷やしてくれるのです

撫でるように砂埃と戯れながら
小さな雲の中にそれを舞い上げたり
安全なブドウの葉陰へと連れていったりします
楽しげな小さな虫たちの群れを

焼け付く日差しをおだやかに静めて
私のほてった頬を冷やしてくれて
ブドウにくちづけしながら吹きすぎて行きます
野原や丘の上できらめいているブドウに

そして私にそのひそかなささやきは運んできてくれるのです
あの人の幾千ものあいさつを
この丘が暗くなってしまう前に
千ものくちづけがわたしを迎えてくれるでしょう

そしてお前はこのまま吹き続けるがいいわ!
友たちや悲しむ人たちの力になってあげて
あの高い壁が照り映えているところで
そこで私はもうすぐ愛する人に逢えるのだから

ああ! 本当の心の通い合い
愛の吐息、潤いに満ちた人生は
私にはあの人の口からだけ、
あの人の息からだけ与えられるのです


ゲーテ晩年の心の恋人として、この詩も収録されている「西東詩集」を生み出すことになった若い人妻マリアンネ、実はこの詩集のズライカの章で、ズライカの歌として乗せられた詩のいくつかは彼女の作品であったことが、彼女の死後ずっとあとになって明らかにされました。メンデルスゾーンもそしてこの詩に付けた曲ではずっとよく知られたものを書いたシューベルトも、この詩がマリアンネのものであるとは知らずに曲をつけ、そしてゲーテの傑作詩にメロディを付けたと信じて死んでいったのです。
なんとなく民放テレビのお昼のメロドラマにでもなりそうなお話ではありますが、ゲーテとマリアンネとの間にはそんなドロドロしたものはなく、あくまでもこのような文学を通じてのお付き合いではあったようですが。
この詩は「西東詩集」に載った彼女の詩の中ではもっとも古いものなのだそうです。東の国に住んでいる恋人のところから吹いてくる風に乗せて、あの人からの便りが届くかも知れないと浮き立つ気持ちを表しています。メンデルスゾーンの曲はそんな気持ちを受けて激しい喜びを表す快活で力強い歌になりました。ちょっと詩情に比べて元気が良すぎるような感じもしますが。
ゲーテは「西東詩集」に彼女の詩を載せるにあたってはいくつか手を入れています。当然ゲーテの詩として曲をつけたメンデルスゾーンもその変更されたもののまま曲を付けております。
大きなゲーテによる変更としては、4連目のtausend Grüßeが元はlieblich Grüßen(愛らしいあいさつ)、及びGrüßen mich wohl tausend Küsseが元はSitz ich still zu seinen Füßen(静にあの人の足元にひざまずく)、ということで、もとのマリアンネのものの方が慎ましやかで、ゲーテの変えた結果はかなり情熱的すぎる感もなくもありません。第5連にも変えたところはありますが、意味は大きく変わっていないようですので省略いたします。

( 2009.04.01 藤井宏行 )


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