Nachtlied Op.71-6 6 Lieder |
夜の歌 6つの歌曲 |
Vergangen ist der lichte Tag, Von ferne kommt der Glocken Schlag; So reist die Zeit die ganze Nacht, Nimmt manchen mit,der's nicht gedacht. Wo ist nun hin die bunte Lust, Des Freundes Trost und treue Brust, Der Liebsten süßer Augenschein? Will keiner mit mir munter sein? Da's nun so stille auf der Welt, Ziehn Wolken einsam übers Feld, Und Feld und Baum besprechen sich,- O Menschenkind! was schauert dich? Wie weit die falsche Welt auch sei, Bleibt mir doch Einer nur getreu, Der mit mir weint,der mit mir wacht, Wenn ich nur recht an ihn gedacht. Frisch auf denn,liebe Nachtigall, Du Wasserfall mit hellem Schall! Gott loben wollen wir vereint, Bis daß der lichte Morgen scheint. |
明るい昼間は去り行き 遠くから鐘の響きがやってくる そして時が夜の中を旅して行くのだ たくさんのものを奪い去りながら、それらは思いもしなかったものだ 色とりどりの喜びは今どこに 友の慰めや誠実な心は 愛する人の甘い瞳の輝きは? どれも私と一緒に起きていてはくれぬのか? ここでは今 世界はとても静かだ 雲がひっそりと野原の上にたなびき 野原と木々が互いに語り合う おお人の子よ! 何がお前を恐れさす? 何とこのいつわりの世界の広いことか それでも私はひとりの人に誠実なままでいる その人は私と一緒に泣き、私と一緒に目覚めていてくれる 私がその人のことを思いさえすれば さあ元気よく、愛しのナイチンゲールよ お前、明るく響く滝もだ! 神様を讃えるのだ、私たちは一緒に 朝の光が差し込んでくるまで |
メンデルスゾーンの曲ではここに訳出しました原詩のうち、第3・4連は使われていないようですが、全体の流れを見た方がこの詩の味わいは深いように思えましたので全部取り上げて訳をつけました。ここにあるのは限りない孤独。最後のナイチンゲールへの呼びかけのところで力を振り絞って明るく振舞う中にもなんとも言えない悲しみが滲み出しています。実はこの詩につけたメンデルスゾーンの歌曲は1847年の10月、彼の死のわずか1ヶ月前に書かれたものなのだそうで、ほとんど彼の最後の作品です。ここに影を落としているのはやはりこの作品71の中の何曲かに一貫して現れているこの年の姉の死に対するショックでしょうか。そんなことを知らなくても感動的な音楽ですが、そういうことを知ってから改めて聴くと更に感慨が深いと思います。
( 2009.04.01 藤井宏行 )