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Aamulaulu   Op.2-3  
 
朝の歌  
    

詩: レイノ (Eino Leino,1878-1926) フィンランド
    Sata ja yksi laulua 9 Aamulaulu

曲: クーラ (Toivo Kuula,1883-1918) フィンランド   歌詞言語: フィンランド語


Kaiu,kaiu lauluni,
kaiu korkealle,
Aamu koittaa,aalto käy jo
rannan raidan alle.

Nuku,nuori sydämein,
Nuku nuorta unta!
Katso kuinka havajaa
koko luomakunta.

Lennä,lennä lempeni,
Lennä yli vuorten!
Ei ne estä vuoretkaan
lempimistä nuorten.

静かに、静かに 歌は
静かに 昇っていく
朝がやってきて さざなみはもう、 
霧が晴れていく

眠れ、若き心よ
子供のように穏やかに眠れ
そして優しく揺り動かす手で
再び目覚めるのだ

はばたけ、はばたけ、飛んでいけ
はばたけ 山々を越えて!
山々に止めることはできない
若き恋の想いは

フィンランド内戦のさなか、わずか35歳の若さで銃弾に倒れたトイヴォ・クーラは、室内楽や合唱曲の作曲家として日本ではわずかに知られているだけかも知れません。が、歌曲の作曲家としても魅力的な作品をたくさん書いています。彼の歌曲の魅力はほのかな翳りが楚々とした旋律の中から滲み出てくるところにあり、悲しみを湛えたその音楽は聴けば聴くほど味わい深いです。
ここでご紹介するのは彼の短いキャリアの中でも比較的初期の作。にも関わらず彼の代表的作品として歌ばかりでなく、ヴァイオリンやチェロ、あるいはピアノの独奏にも編曲されてよく紹介されています。
エルガーの「愛のあいさつ」を思わせるような朝の爽やかな歌は、中間部の「眠れ、私の心よ」でテンポを落とした悲しげな子守歌になり、そしてまた冒頭の爽やかな旋律が戻ってきて終わります。
フィンランド語の”Kaiu Kaiu”や”Lenna Lenna” の響きが優しいとても印象的な歌です。
 クーラの歌曲集はなんとクラシックの文庫本・Naxosレーベルにもあるみたいなのですが、私が愛聴しているのはフィンランドが生んだ大ソプラノ、カリタ・マッティラがOndineレーベル入れたフィンランド歌曲集(From the Heart of Finland)です。このCDの冒頭でふくよかに暖かく歌われるこの曲は実に素敵。他にもクーラの曲は6曲ほど収録されていて、そのどれもが素晴らしいです。
あとはやはり、フィンランド歌曲の紹介にかけてはこの人を忘れてはいけないバリトンのヒュンニネン、同じOndineレーベルでこちらは管弦楽伴奏で朗々と歌います。これもなかなか。

( 2004.05.11 藤井宏行 )


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