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Des kleinen Friedrichs Geburtstag K.529 |
小さなフリードリヒの誕生日 |
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Es war einmal，ihr Leutchen， Ein Knäblein jung und zart， Hieß Friedrich，war daneben Recht gut von Sinnesart. War freundlich und bescheiden， Nicht zärtlich und nicht wild， War sanft wie kleine Schäfchen， Und wie ein Täubchen mild. Drum gab auch Gott Gedeihen， Das Knäblein wuchs heran， Und seine Eltern hatten Recht ihre Freude dran. Zu Schul' und Gotteshause Sah man es fleißig geh'n， Und Jedem，der es grüßte， gar freundlich Rede steh'n. Auch war ihm in der Schule Ein Jeder herzlich gut， Denn Allen macht es Freude， Und Allen war es gut. Einst hieß es:Brüder，morgen fällt Sein Geburtstag ein! Gleich riefen All' und Jede: Der muß gefeiert sein. Da war des Wohl behagens Und jeder Freude viel， Und wo man sah und hörte， War Sang und Tanz und Spiel. Denn Alle，Alle freuten Des frohen Tages sich， Und Alle，Alle sangen: Heil unserm Freiderich! Und Gott im Himmel oben Erhörte ihr Gebet. Sein Segen folgt dem Knaben， Da wo er geht und steht. |
むかしむかし、皆さま方 ひとりの若くてやさしい男の子がおりました フリードリヒという名前で、その上に 心がけのとても良い子でした 親切で控え目で けんか好きでも乱暴でもなく 子羊のようにやさしくて 小鳩のように穏やかでした ですから神様からも恩寵をうけて その子はすぐに大きくなり その子の両親も とても喜んでおりました 学校へも教会へも この子が熱心に通う姿が見られ 誰であっても、この子が挨拶すれば いつでも仲良くお話しができたのです その子が学校にいるときにも みんなはやさしくしてあげました なぜってこの子はみんなを楽しませ みんなにやさしくしてあげるのですもの ある日、誰かがこう言いました「みんな、明日は 彼の誕生日じゃないか！」 みんな一斉に叫びました 「それはお祝いしなくちゃね」 そこには嬉しいことや 楽しいことが一杯でした 見るところ聞くところすべて 歌と踊りと遊びばかりでした なぜならみんな、みんな喜んでいたからです このしあわせな日のことを そしてみんな、みんな歌いました 「ぼくたちのフリードリヒ万歳！」と そして天の神様も 彼らの祈りをお聴きになって 神様の祝福はその子について行きます どこに行くときにでも |
ここで出てくるフリードリヒという少年は、デッサウ侯国の皇太子なのだそうです。この皇太子の家庭教師であったヨハン・シャルという人が皇太子９歳の誕生日を祝って書いたという、なんとなくゴマスリの感じもしなくもない詩に、最後の１節を詩人ヨアヒム・カンペが書き加えたものをモーツアルトが見かけ、そして作曲したということです。モーツアルト自身はこのフリードリヒの正体は知らず、ひとつの童話のシーンのようなイメージでこの詩を捉えたのではないでしょうか。非常に味わい深い、透明感のある歌に仕上げています。あまり人気のある作品というわけでもないですが、エディット・マティスのようにこの曲を好んでよく取り上げてくれる人もいますので、けっこう聴ける機会はある作品かも知れません。
( 2008.08.26 藤井宏行 ）