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Lied der Freiheit   K.506  
 
自由の歌  
    

詩: ブルーマウエル (Johannes Alois Blumauer,1755-1798) オーストリア
      

曲: モーツァルト (Wolfgang Amadeus Mozart,1756-1791) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Wer unter eines Mädchens Hand
Sich als ein Sclave schmiegt
Und,von der Liebe festgebannt,
In schnöden Fesseln liegt:
Weh dem! Der ist ein armer Wicht,
Er kennt die gold'ne Freiheit nicht.

Wer sich um Fürstengunst und Rang
Mit saurem Schweiss bemüht,
Und,eingespannt sein Leben lang,
Am Pflug des Staates zieht:
Weh dem! Der ist ein armer Wicht,
Er kennt die gold'ne Freiheit nicht.

Wer um ein schimmerndes Metall
Dem bösen Mammon dient,
Und seiner vollen Säcke Zahl
Nur zu vermehren sinnt:
Weh dem! Der ist ein armer Wicht,
Er kennt die gold'ne Freiheit nicht.

Doch wer dies alles leicht entbehrt,
Wonach der Thornur strebt,
Und froh bei seinem eignen Herd
Nur sich,nicht Andern lebt,
Der ist's allein,der sagen kann:
Wohl mir,ich bin ein freier Mann!

ひとりの娘の手の中に
奴隷みたいに抱かれてるやつも
恋の虜になって
下劣な鎖に縛られてるやつも
ああ全く!哀れなやつだ
光り輝く自由を知らないのだからな

貴族への取立てと爵位を求めて
額に汗して頑張ってるやつも
自分の人生を一生縛られて
鍬でお国を耕してるやつも
ああ全く!哀れなやつだ
光り輝く自由を知らないのだからな

ぎらつく金貨を求めて
悪いマモンに仕えてるやつも
金の詰まった袋の数を
増やしていくことだけしか考えないやつも
ああ全く!哀れなやつだ
光り輝く自由を知らないのだからな

だがこんなことから逃れられている
馬鹿者だけが追い求めることから自由なやつ
そして幸せに暖炉のそばで
他人でなく、自分のために生きるやつ
そんなやつだけが言えるのだ
「しあわせだ、俺は自由な男なのだから」と


彼が作った自作の目録には載っておらず、いつごろ描かれたかなどが不明な不遇の曲です(1785年?)。それもあってそれほど多くの歌い手に取り上げられているとは言い難い作品なのですが、モーツアルトの資質にぴったりとはまった素晴らしい歌曲だと私などは思います。この歌詞の精神を見事に表した自由闊達さ、生気に満ちたメロディの魅力、いずれも素晴らしいです。詩のブルーマウエル(Johannes Aloys Blumauer 1755-1798)はモーツアルトにも縁の深い秘密結社フリーメーソンのウイーンの指導者だった人なのだそうですが、この詩自体は特にその教義を表わしているというわけでもないようです。
第3連目に出てくるマモンというのは強欲を司る悪魔のことです。

( 2008.08.26 藤井宏行 )


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