Komm,liebe Zither K.351 |
おいで、愛しのツィターよ |
Komm,liebe Zither,komm,du Freundin stiller Liebe, Du sollst auch meine Frendin sein. Komm,dir vertraue ich die geheimsten meiner Triebe, Nur dir vertrau ich meine Pein. Sag' ihr an meiner Statt,ich darf's ihr noch nicht sagen, Wie ihr so ganz mein Herz gehört. Sag' ihr an meiner Statt,ich darf's ihr noch nicht klagen, Wie sich für sie mein Herz verzehrt. |
おいで、愛しのツィターよ、おいで、ひそやかな恋の友よ お前もぼくの女友達になってくれるだろ おいで、お前にぼくのひそかな思いを打ち明けよう お前にだけぼくの苦しみを打ち明けるのだ ぼくの代わりに彼女に言ってくれ、ぼくがいまだに言えないことを どれだけ彼女にこの心が ぼくの代わりに彼女に言ってくれ、ぼくがいまだに言えないことを どんなに彼女のためにこの心がやつれているのかを |
ツィターといえばオーストリアの民族楽器、映画「第三の男」の音楽として有名になったメロディ(今やこれでエビスビールを連想される方の方が多いでしょうか?)でおなじみのしなやかな弦の響きです。あるいはヨハン・シュトラウスのワルツ「ウイーンの森の物語」でもちょっと顔を出しますのでこちらを思い出される方もいますでしょうか。ここではそんなツィターに叶わぬ恋心を訴えかけているちょっと洒落た歌になっています。面白いのはこの曲、ツィターのことを歌ってはおりますがもともとマンドリン伴奏の歌として書かれていることで、今でもマンドリン伴奏で歌われるケースがけっこうあります。この暖かくもちょっとユーモラスな楽器の響きが曲想に実によくマッチして味わい深い歌になりました。機会がありましたらですからぜひオリジナルのマンドリン伴奏で聴いてみてください。
1780末〜81年の春にかけて彼がミュンヘンに滞在中、その地のホルン奏者ラングのために書いた曲だということです。
( 2008.08.26 藤井宏行 )