Dans un bois solitaire K.308 |
寂しい森の中で |
Dans un bois solitaire et sombre Je me promenais l'autr' jour, Un enfant y dormait à l'ombre, C'était le redoutable Amour. J'approche,sa beauté me flatte, Mais je devais m'en défier; Il avait les traits d'une ingrate, Que j'avais juré d'oublier. Il avait la bouche vermeille, Le teint aussi frais que le sien, Un soupir m'échappe,il s'éveille; L'Amour se réveille de rien. Aussitôt déployant ses aîles et saisissant Son arc vengeur, L'une de ses flêches,cruelles en partant, Il me blesse au coeur. Va! va,dit-il,aux pieds de Sylvie, De nouveau languir et brûler! Tu l'aimeras toute la vie, Pour avoir osé m'éveiller. |
寂しくて暗い森の中を ある日私は歩いていた ひとりの子供が木陰で眠っていた それは恐ろしい愛の神 私は近寄ってしまった、その美しさに魅せられて だが、私は避けるべきだったのだ 彼はあの不実な女の面影をしていたのだ 私が忘れようと誓った女の 彼は紅色のくちびるに 彼女そっくりの綺麗な顔立ちをしていた 私が溜息をつくと彼は目覚めた 愛の神はすぐに目を覚ますのだ 彼は翼を広げるやいなや手に取った 復讐の弓を 残酷な矢の一本が放たれて それは私のハートを傷つけた 行け!行くがいい、と彼は言った、シルヴィアの足元へと 再びもだえ、燃えるのだ お前は一生恋焦がれることになるさ わざわざぼくを目覚めさせてしまったんだからね |
こちらも「鳥たちよ、毎年」同様1777年〜78年マンハイムに滞在中の作品といわれています。ただ「鳥たちよ」の軽めのアリエッタに比べるとこの曲はかなりドラマチックな本格的歌曲になっていてモーツアルトの早熟な天才を実感させてくれます。愛の神アモールといえば別名キューピッド。最初の森を巡るところの流麗な旋律が、アモールを目覚めさせてしまうところでは音楽は陰りをおびて速くなり、そして「行け」のところでは力強く吐き捨てるように。最後にまた冒頭の流麗な旋律が帰ってきて曲を閉じます。こういう曲はシュワルツコップの語り口の巧さが際立ってとても素晴らしいものになっているように私には思えます。
( 2008.08.26 藤井宏行 )