Glückes genug Op.37-1 TrV 187 Sechs Lieder |
満ち足りた幸せ 6つの歌曲 |
Wenn sanft du mir im Arme schliefst, ich deinen Atem hören konnte, im Traum du meinen Namen riefst, um deinen Mund ein Lächeln sonnte - Glückes genug. Und wenn nach heißem,ernstem Tag du mir verscheuchtest schwere Sorgen, wenn ich an deinem Herzen lag und nicht mehr dachte an ein Morgen - Glückes genug. |
お前が静かにぼくの腕の中で眠るときには ぼくはお前の寝息を聞くことができる 夢の中でお前はぼくの名前を呼び お前の口には微笑みが浮かぶ それは満ち足りた幸せ そして暑い、厳しい日に お前が私から深刻な気がかりを追い払うとき お前の胸にもたれかかり もう明日のことなど気にならなくなったとき それは満ち足りた幸せ |
作品37は息子の誕生を祝って妻に捧げた6曲からなる歌曲集。詩の内容は6曲さまざまですが、見比べるとなるほどと思わされるセレクションで愛の喜びを歌っています。リリエンクローンの詩による第1曲は一番ストレートな愛情表現でしょうか。シュトラウスにしてはメロディの魅力にいまひとつキレがないこともあってあまり多く取り上げられる歌ではないですが、ひそやかにささやくような穏やかな表情は、それに寄り添う美しいピアノ伴奏もあってなかなかにいい雰囲気をかもし出しています。最後の「Glückes genug.」を間を置いてからつぶやくところも秀逸。
グルベローヴァの入れたTELDEC盤でしか私も耳にはできていないのですが、これは歌曲集セレクションの中にあえてこの曲を選ぶだけあってなかなかの名唱。彼女の録音はこれだけでなく有名曲に片寄り過ぎない魅力的な選曲がお勧めです。国内盤も出ていますし、シュトラウスの歌曲のお好きな方はぜひにでも耳にされて良いアルバムだと思います。
( 2008.10.01 藤井宏行 )