Love bade me welcome Five Mystical Songs |
愛は私を喜んで招き入れてくださった 5つの宗教的な歌 |
Love bade me welcome: yet my soul drew back, Guilty of dust and sin. But quick-ey'd Love,observing me grow slack From my first entrance in, Drew nearer to me,sweetly questioning, If I lack'd anything. A guest,I answer'd,worthy to be here: Love said,You shall be he. I the unkind,ungrateful? Ah,my dear, I cannot look on thee. Love took my hand,and smiling did reply, Who made the eyes but I? Truth,Lord,but I have marr'd them: let my shame Go where it doth deserve. And know you not,says Love,who bore the blame? My dear,then I will serve. You must sit down,says Love,and taste my meat: So I did sit and eat. |
愛は私を喜んで招き入れてくださった、だが私の魂はしり込みしていた 塵と罪に汚れていたからだ だが慧い眼をお持ちの愛は、私がぐずぐずしているのを見ておられた 私が初めて戸口に入った時から 私に近付いて、やさしくおたずねになったのだ 何か足りないものがあるのか?と 客人が、私は答えた、ここにふさわしくないのです 愛はおっしゃった、お前がその客人になるがいいと 私のような薄情で恩知らずな者がですか?ああ、わが愛しきお方よ 私はあなたを見つめることもできません 愛は私の手を取り、微笑んでお答えになった 私でない誰がその目を作ったというのだ? 真実です、主よ、ですが私はそれを汚してしまいました、私の恥に しかるべき報いを受けさせてください お前は知らないようだな、と愛はおっしゃった、誰がその責めを負ったのかを? わが愛しきお方よ、それではお仕えしましょう お座りなさい、愛はおっしゃった、そして我が肉を食べるのです そこで私は座り、いただいたのだ |
ハーバートの詩の中でも、この歌曲集冒頭に使われた「イースター」と並んで有名な詩です。ここで「愛」と呼ばれているのはもちろんイエス・キリストのことでしょう。そしてここで戸口に入るのをためらっている「私」とは死んで天国へと旅立っている姿のイメージがします。しかし死の旅とは言っても非常に穏やかに、ほのかなユーモアさえ漂わせて淡々と歌われて行きますので、非常に心安らぐ世界です。「しかるべき報いを」の部分で少しだけ歌も音楽も熱くなりますが、すぐに穏やかな表情に戻り、そして長い後奏と共に消えていきます。こんな曲にこそ弦楽4重奏はぴったりの伴奏。ピアノはほとんど目立つことなく、弦の揺らめく伴奏が音楽に彩りを添えています。
( 2008.09.30 藤井宏行 )