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Love bade me welcome    
  Five Mystical Songs
愛は私を喜んで招き入れてくださった  
     5つの宗教的な歌

詩: ハーバート (George Herbert,1593-1633) イングランド
      

曲: ヴォーン=ウィリアムズ (Ralph Vaughan Williams,1872-1958) イギリス   歌詞言語: 英語


Love bade me welcome: yet my soul drew back,
 Guilty of dust and sin.
But quick-ey'd Love,observing me grow slack
 From my first entrance in,
Drew nearer to me,sweetly questioning,
 If I lack'd anything.

A guest,I answer'd,worthy to be here:
 Love said,You shall be he.
I the unkind,ungrateful? Ah,my dear,
 I cannot look on thee.
Love took my hand,and smiling did reply,
 Who made the eyes but I?

Truth,Lord,but I have marr'd them: let my shame
 Go where it doth deserve.
And know you not,says Love,who bore the blame?
 My dear,then I will serve.
You must sit down,says Love,and taste my meat:
 So I did sit and eat.

愛は私を喜んで招き入れてくださった、だが私の魂はしり込みしていた
 塵と罪に汚れていたからだ
だが慧い眼をお持ちの愛は、私がぐずぐずしているのを見ておられた
 私が初めて戸口に入った時から
私に近付いて、やさしくおたずねになったのだ
 何か足りないものがあるのか?と

客人が、私は答えた、ここにふさわしくないのです
  愛はおっしゃった、お前がその客人になるがいいと
私のような薄情で恩知らずな者がですか?ああ、わが愛しきお方よ
  私はあなたを見つめることもできません
愛は私の手を取り、微笑んでお答えになった
  私でない誰がその目を作ったというのだ?

真実です、主よ、ですが私はそれを汚してしまいました、私の恥に
  しかるべき報いを受けさせてください
お前は知らないようだな、と愛はおっしゃった、誰がその責めを負ったのかを?
  わが愛しきお方よ、それではお仕えしましょう
お座りなさい、愛はおっしゃった、そして我が肉を食べるのです
  そこで私は座り、いただいたのだ


ハーバートの詩の中でも、この歌曲集冒頭に使われた「イースター」と並んで有名な詩です。ここで「愛」と呼ばれているのはもちろんイエス・キリストのことでしょう。そしてここで戸口に入るのをためらっている「私」とは死んで天国へと旅立っている姿のイメージがします。しかし死の旅とは言っても非常に穏やかに、ほのかなユーモアさえ漂わせて淡々と歌われて行きますので、非常に心安らぐ世界です。「しかるべき報いを」の部分で少しだけ歌も音楽も熱くなりますが、すぐに穏やかな表情に戻り、そして長い後奏と共に消えていきます。こんな曲にこそ弦楽4重奏はぴったりの伴奏。ピアノはほとんど目立つことなく、弦の揺らめく伴奏が音楽に彩りを添えています。

( 2008.09.30 藤井宏行 )


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