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Traum der eignen Tage   Op.60-9  
  Frauen-Liebe
かけがえのない日々の夢も  
     歌曲集「女の愛」

詩: シャミッソー (Adelbert von Chamisso,1781-1838) ドイツ
    Lieder und lyrisch epische Gedichte - Frauen-Liebe und Leben 9 Traum der eignen Tage

曲: レーヴェ (Johann Carl Gottfried Loewe,1796-1869) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Traum der eignen Tage,
Die nun ferne sind,
Tochter meiner Tochter,
Du mein süßes Kind,

Nimm,bevor die Müde
Deckt das Leichentuch,
Nimm ins frische Leben
Meinen Segensspruch.

Siehst mich grau von Haaren.
Abgezehrt und bleich,
Bin,wie du,gewesen
Jung und wonnereich,
Liebte,wie du liebest,
Ward,wie du,auch Braut,
Und auch du wirst altern,
So wie ich ergraut.

Laß die Zeit im Fluge
Wandeln fort und fort,
Nur beständig wahre
Deines Busens Hort;
hab' ich's einst gesprochen,
nehm' ich's nicht zurück:
Glück ist nur die Liebe,
Liebe nur ist Glück.

Als ich,den ich liebte,
In das Grab gelegt,
Hab' ich meine Liebe
Treu in mir gehegt;
War mein Herz gebrochen,
Blieb mir fest der Mut,
Und des Alters Asche
Wahrt die heil'ge Glut.

Nimm,bevor die Müde
Deckt das Leichentuch,
Nimm ins frische Leben
Meinen Segensspruch:
Muß das Herz dir brechen,
Bleibe fest dein Mut,
Sei der Schmerz der Liebe
Dann dein höchstes Gut.

かけがえのない日々の夢も
今は遥か昔のこと
私の娘の娘
かわいい私の孫や

お受けなさい、この老いぼれが
棺を布で包まれる前に
お受けなさい お前の若い人生に
私の祝福の言葉を

髪は白くなり
やつれて蒼白く見えるけれど
私にも、お前のように
若くて生き生きしていた頃があったのだよ
お前と同じように恋をして
お前と同じように花嫁となったのさ
そしてお前も同じように歳を取るのだよ
私が白髪になったように

時は過ぎ去るに任せなさい
どんどん過ぎ去って行くから
ただ 変わらない真実だけを
お前の胸の中に持っておきなさい
いつか言ったように
私は今も思っているよ
幸せは愛すること。
愛することこそが幸せなのさ

私が、愛する夫を
お墓に埋葬したあとも
私は愛する心を
ずっと私の中に秘めてきた
私の心が張り裂けても
私は勇気をしっかり持ち続けたのさ
そして年老いて灰になっても
この神聖な焔は燃え続けてるんだよ

お受けなさい、この老いぼれが
棺を布で包まれる前に
お受けなさい お前の若い人生に
私の祝福の言葉を
もしお前の心が砕けそうになっても
勇気をしっかり持ち続けるんだよ
愛することの痛みは
その時お前の最高の宝物になるのだから


シューマンが省略してしまったシャミッソーの最後の詩にもレーヴェはちゃんと曲をつけています。主人公はもう老婆となり、そして孫娘が今や花嫁になろうとしているとき、その孫娘にやさしく人生を語るシーン。ちょっと翳りを見せるワルツのメロディは味があります。年輪を重ねた者の持つ重みでしょうか。
「幸せは愛すること、愛することが幸せ」とあるのは子供が生まれた第7曲でしみじみと語られた言葉の再来ですね。あそこでも同じように「いつかそう言ったこと、今もそう思っている(正しくは「取り消すつもりはない」ですが、あまり詩情のない訳になるので意訳しました)」とありますので、彼女の人生の座右の銘なのでしょう。また愛するダンナを先に送った時の回想も効果的に織り込んでいます。詩集としてはやはりこれがあった方がドラマティックでぐっと引き締まるように私は思いますが皆様はいかがお感じでしょうか。
楽譜を確認していませんのでこれがオリジナルかどうかは分からないのですが、アルトのブリギッテ・ファスベンダーが歌った録音(DG)では最後のスタンザ、「お受けなさい、この老いぼれが」が繰り返される部分は歌でなくて語りとなり、一層深い余韻を残して印象に残りました。特に一番最後の台詞は人生の重みが感じられて含蓄がありますね。

( 2008.09.30 藤井宏行 )


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