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Vandring i Skoven   Op.18-1  
  9 Romanser og sanger
森の散策  
     9つの歌とロマンス

詩: アンデルセン (Hans Christian Andersen,1805-1875) デンマーク
    Digte 167 Vandring i Skoven (1852)

曲: グリーグ (Edvard Grieg,1843-1907) ノルウェー   歌詞言語: デンマーク語


Min søde Brud,min unge Viv,
min Kjærlighed,mit Liv!
Kom,Maanen skinner stor og klar,
en Stilhed Natten har,
en Deilighed,en Ensomhed,
min søde Brud,kom med!
I Bøgeskoven gaae vi to,
der hvor Skovmærker gro,

I denne lyse,tause Nat,
hos dig min Verdens Skat,
jeg er saa glad,saa salig glad,
duft friske Bøgeblad!
Syng Nattergal! Lys Maane klar!
Jeg her al Rigdom har:
Min søde Brud,min unge Viv,
min Kjærlighed,mit Liv!

Du er saa frisk,som Bøgens Hang,
som Nattergalens Sang,
saa dyb som Nattens stille Ro,
her hvor Skovmærker groe,
hvor maleriske Bøge staae,
og vi ved Maan'skin gaae:
Min søde Brud,min unge Viv,
min Kjærlighed,mit Liv!

ぼくの優しい花嫁、ぼくの若い妻よ
ぼくの喜び、ぼくの人生
おいでよ、月は高く明るく輝いてる
静かな夜だ
楽しくて、寂しい
ぼくの優しい花嫁よ、一緒においで!
ブナの森の中を一緒に行こう
クルマバソウが生えてるところを

月あかりの中、静かな夜
きみと一緒なら、ぼくの世界は明るい
ぼくはとても幸せ、とてもとても幸せだ
さわやかに香る ブナの葉!
歌え、ナイチンゲールよ、輝け、月よ明るく
ここではすべてが満ち足りている
ぼくの優しい花嫁、ぼくの若い妻よ
ぼくの喜び、ぼくの人生

きみはブナの森のようにさわやかだ
まるでナイチンゲールの歌みたいに
月下美人の花の静けさのように深い
ここはクルマバソウが生えてるところ
あの絵のようなブナの木立
そしてもちろん 月が輝いている
ぼくの優しい花嫁、ぼくの若い妻よ
ぼくの喜び、ぼくの人生

月あかりの下の楽しいデートの情景。まるでシューベルトの歌曲のようにドイツリート風なメロディですが、伴奏のフレーズなどにグリーグの音楽のノルディックなスタイルが感じられてそのクロスオーバー風味が興味深いです。新婚早々の夏至の夜でしょうか。北欧にはこんな夏の夜のロマンティックなデートを歌った歌がたくさんあります。アンデルセンも情熱的な恋を求めた人ではありましたが、不幸にしてその恋は実らず生涯独身であったことを思うとちょっと悲しくなってしまう詩ではありますが。
詩の中には森に生えている植物たちの固有名詞がいくつも出てきました。私は草花の名前には詳しくありませんので適切な訳になっていない可能性が高いです。ご容赦ください。

アンデルセンの詩を多く取り上げているグリーグの作品18の冒頭を飾る曲。
なかなかに素晴らしい味わいです。あまり取り上げられる頻度は高くないですが、これもグリーグの傑作歌曲だと私は思います。

( 2008.10.11 藤井宏行 )


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