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Dans le Jardin   L 78  
 
庭で L78  
    

詩: グラボレ (Paul Gravollet,1863-1936) フランス
      

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Je regardais dans le jardin,
Furtif au travers de la haie;
Je t'ai vue,enfant! et soudain,
Mon coeur tressaillit: je t'aimais!

Je m'égratignais aux épines,
Mes doigts saignaient avec les mures,
Et ma souffrance était divine;
Je voyais ton front de gamine,
Tes cheveux d'or et ton front pur!

Grandette et pourtant puérile,
Coquette d'instinct seulement,
Les yeux bleus ombrés de longs cils,
Qui regardent tout gentiment,
Un corps un peu frêle et charmant,
Une voix de mai,des gestes d'avril!

オレは庭の中を見た
こっそりと垣根の隙間から
オレはそこでお前を見たぜ、ベイビー! 突然に
オレの心臓は高鳴った:お前に惚れちまったんだ

オレは茨で体を引っ掻いちまった
桑の実にも一緒に血がダラダラだ
でもこの痛みはかけがえのないもんだ
オレはお前のロリっぽい額や
金色の髪やキレイな眉を見たんだからな

長身だけどガキっぽく
本能的にコケティッシュに
青い瞳は長い睫毛で翳りながら
優しくすべてのものを見つめている
体つきはきゃしゃだがチャーミング
声は5月、振る舞いは4月の趣だ


あまりドビュッシーの歌曲としては音楽の主張が強い方でもない曲でしたので、この曲を私はあまり注意して聴いていなかったのですが、詞を見るとこれは結構強烈です。
庭先での出歯亀(死語か?)の末に覗いた女性にハアハアするという、現代の日本でこんな詩を書いて歌にしようものなら作者の社会的生命がなくなるかも知れないという内容にひたすら驚かされてしまいました。
そういうわけで少々訳詞の方が過激になってしまっている部分もないとは言い切れませんが、この詩をより率直に訳すとこんな感じの歌であることはほぼ間違いないであろうと思います。
それにしてはおとなし過ぎる音楽が残念なところではあります。「艶なる宴U」の第1曲「うぶなやつら」くらい遊んでいると絶品の歌曲になったのではないでしょうか。女声によって歌われることが多い曲のように思いますが、歌う方はどのようにお感じになっているのでしょうか?
メロディには確かに古典的な佇まいと、彼お得意のたゆたうような印象派的な美しさがあってこのような詞を意識させないところはあるのですけれども...

( 2008.10.11 藤井宏行 )


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