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Les Angélus   L 76  
 
アンジェラスの鐘 L76  
    

詩: ル・ロワ (Grégoire Le Roy,1862-1941) フランス
      

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Cloches chrétiennes pour les matines,
Sonnant au coeur d'espérer encore!
Angelus angelisés d'aurore!
Las! Où sont vos prières câlines?

Vous étiez de si douce folies!
Et chanterelles d'amours prochaines!
Aujourd'hui souveraine est ma peine.
Et toutes matines abolies.

Je ne vis plus que d'ombre et de soir;
Les las angelus pleurent la mort,
Et là,dans mon coeur résigné,dort
La seule veuve de tout espoir.

朝の礼拝のクリスチャンの鐘が
まだ希望を求める心の中に響く
清らかな夜明けのアンジェラスの鐘
ああ!お前の優しい祈りはどこに?

お前たちはあまりに甘い狂気だった!
これからの恋の囮だった!
今日、我が苦しみは至上のもの
朝の礼拝はもう取りやめだ

私はもはや、陰と夕暮れの中でしか生きて行けぬ
悲しげなアンジェラスの鐘が死を嘆く
そしてそこには、我があきらめの心の中には眠っている
すべての希望を亡くしたひとりの未亡人が


「み告げの鐘」あるいは「夕べの鐘」(朝や夜明けという言葉が詩中にありますのでこの邦題はどんなものかと思いますが)というタイトルで紹介されることが多いでしょうか。調べましたらいくつかのキリスト教会のサイトで、天使ガブリエルが聖母マリアに受胎告知をしたことを記念して唱える祈りが朝6時、正午、夕方6時とあり、「アンジェラスの祈り」と呼ばれていること、またこの時に鳴らされる鐘のことを「アンジェラスの鐘」と呼ばれていることなどが紹介されておりましたので、ここでは原題通りにアンジェラスの鐘としました。これは夜明け、朝6時の礼拝の鐘ですね。
淡々と礼拝の音楽のように流れる音楽は、この詞の語り手の心の苦しみなど意に介さないようにも聴こえますが、またドビュッシーのメロディに見え隠れする艶めかしさがほんのりと作用して不思議な歌曲になっています。

( 2008.10.11 藤井宏行 )


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