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Mám já panenku    
  Zápisník Zmizelého
俺にはひとりの女がいる  
     消えた男の日記

詩: カルダ (Ozef Kalda,1871-1921) チェコ
      

曲: ヤナーチェク (Leoš Janáček,1854-1928) チェコ   歌詞言語: チェコ語


Mám já panenku,
ale po kolenka  
už sa jí zdvíhá
režná košulenka. 

俺にはひとりの女がいる
だけど膝のところまで
まくれあがっちまったぜ
粗地の下着がな


陽気に踊るような民族舞曲の調べに乗せて、なんとも不思議な歌詞の歌が歌われます。ロレツが回らなくなっているような単語の繰り返しといい主人公が酒場で酔いつぶれて卑猥な歌を歌っているようなイメージが私はしましたが実のところはどうなのでしょう。ニコライ・ゲッダの歌っているCDでの佐川吉男氏の解説ではこの詩では「ジプシーにわが子をはらませてしまった自嘲の歌」とあります。この謎の歌詞はそうするとお腹がだんだん膨れてきて服の丈がどんどん足りなくなってきた、といったところでしょうか。この曲と次の曲、そして最終曲では今までちらちらと顔を出していた迷いのようなものがすっぱりと消えていますので、この解釈も非常に説得力があります。
前の歌とのつながりでこのkošulenkaはここでも「下着」と訳しましたが、というわけで実際のところは丈の長いスカートと一体になったドレスみたいな民族衣装のことを言っているのかも知れません。ほんとうはふくらはぎくらいまである筈の裾がおなかが出てきたがゆえに膝のところまで上がってきてしまうという...
なお言うまでもありませんがこのkošulenka、前の歌で出てきたヤンの家から盗まれたものでしょうね。

( 2008.10.10 藤井宏行 )


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