Tahne vůňa k lesu Zápisník Zmizelého |
森に広がる香りは 消えた男の日記 |
Tahne vůňa k lesu z rozkvetlé pohanky. “Chceš-li Janku vidět, jak spija cigánky?” Halúzku zlomila, kámeň odhodila; “Tož už mám ustlané,” v smíchu prohodila. “Zem je mi za polštář, nebem sa přikrývám, a rosú schladlé ruce v klíně si zahřívám.” V jedné sukénce na zemi ležala a moja poctivost' pláčem usedala. |
森に広がる香りは ソバの花からやってくる 「愛しいヤン、見てみたい ジプシー娘の寝る姿を?」 娘は小枝を折り、 石を払いのけて、 これでベットはできた と微笑んで言った。 「あたしには地面が枕で, 空がかけ布団よ 夜露で冷えた手は 太腿で温めるの。」 スカートをはいているだけで 彼女は寝そべった ウブな俺はといえば, 泣きながら腰を下ろした |
ヤンが声を出さずにいたのは舞台ではほんの数分のことでここで再び歌い出しますが、前2曲の展開があまりに凄いために聴いている私にもしばらく彼の声を聴いていないように錯覚してしまいます。木釘を取りに森に入ったのはどんなに遅くても夕方のはずなのですが、もうジプシー娘は寝る態勢に入っています。やはりけっこう長いやり取りがここまででなされていたということでしょうか。この曲では情景描写の部分もテノールによって語られます。いやはや何といいましょうか。こんな風に例えるのは明らかに不適切ですが、学校出たての新入社員が先輩にはじめて風俗に連れられてひとりで個室でどぎまぎしているといった感じの展開がちょっと微笑ましくもあります。さきほど「日にあたっていない部分は白いのよ」と上半身をさらけ出してしまった娘はスカート一枚。「ウブな俺は」と訳しましたが正確には「俺の純潔は」なので、一部の訳ではあからさまに「俺の童貞は」なんてなっているものもあります。もっともこれはちょっとフライングなのでは。ほんとうにここのところの泣きそうな歌声はリアルです。私は残念ながらこんな経験はありませんけれど...
( 2008.10.10 藤井宏行 )