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Ta černá cigánka    
  Zápisník Zmizelého
あの黒髪のジプシー娘が  
     消えた男の日記

詩: カルダ (Ozef Kalda,1871-1921) チェコ
      

曲: ヤナーチェク (Leoš Janáček,1854-1928) チェコ   歌詞言語: チェコ語


Ta černá cigánka
kolem sa posmětá.
Proč sa tady drží,
proč nejde do světa?

Byl bych snad veselší,
gdyby odjít chtěla;
šel bych sa pomodlit
hnedkaj do kostela

あの黒髪のジプシー娘が
このあたりを歩きまわっている
どうしてここに留まるのだ
なぜ遠くへと行かぬのだ?

俺は気持ちが晴れるだろうに
もしあいつがどっかへ行ってくれたなら
俺は礼拝に行けるんだろうに
すぐにでも教会へと


チェコ語の響きがたいへんに印象的なこの曲。第一曲以上に感情が昂っています。怒りをぶつけるような冒頭部分はしかしながら後半、「俺は気持ちが晴れるだろうに」のところで急に安らかなメロディとなります。次の曲や第六曲でもそうなのですが、彼女への想いを断ち切ろうとする言葉のところで音楽が穏やかに、優しくなるのは非常に興味深いところ。
彼の心の迷いを実に見事に描写しているのでしょうか。あるいはもしかすると言葉では強く拒んでいても、彼の本心はもう決まっているということなのかも知れません。
「黒髪の」としましたが直訳すると「黒いジプシー」ですので黒い肌のことを言っているのかも知れませんが、ここはやはりエロスの描写として髪にしておきたいところです。

( 2008.10.10 藤井宏行 )


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