Ja pomnju vecher |
ぼくは忘れない あの夜を |
Ja pomnju vecher,my vdvaem Na beregu sideli, I zvezdy s nezhnaju toskoj Na nas s nebes gljadeli. Ja pomnju,kak ruka tvoja Ruki moej kasnulas’. I schast’ju nashemu luna Otradno ulybnulas’. Ja pomnju kak glaza tvoi Mne v dushu pronikali, I volnyj s ropotom ljubvi U nashikh nog pleskali. Ja pomnju,kak usta tvoi K ustam moim prilnuli... I volny,zvezdy i ves mir V blazhenstve patanuli. |
ぼくは忘れない あの夜を ふたり一緒に あの岸辺に座っていたね そして星たちは優しい憂愁の中にあって ぼくたちは天を見つめていた ぼくは忘れない どうやって君の手が ぼくの手と触れあったのかを そして幸いなことに ぼくたちの月も うれしそうに微笑んでいた ぼくは忘れない どうやって君の瞳が この心を射抜いたのかを そして愛の震えのような波が ぼくたちの脚に跳ねかかってきた ぼくは忘れない どうやって君のくちびるが ぼくのくちびるに合わさったのかを 波も、星も、この一時の重みも この感動的な幸せの中にある |
これは詩は少々陳腐なところも感じられなくもありませんが、メロディはまさにキュイの本領発揮といったところ。陶酔的に美しいです。この味わいがお好きな方も多いからでしょうか、ロシア歌曲の中でも知られざる名作の多いキュイの歌曲の中では比較的取り上げられる頻度が高い曲です。ときめく二人の夜のデートの情景に優しく寄り添うかのような星空、月、水辺。初恋のときめきと甘酸っぱさを最高に引き出してくれているような懐かしさはなかなかに魅力的。ロシア歌曲の隠れた逸品としてぜひ聴いてみてください。現役の国内盤はないかも知れませんが、ボロディナの歌ったPhilips盤が中古や輸入盤では比較的手に入りやすいのではないかと思います。
( 2008.09.24 藤井宏行 )