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Tsvetok zasokhshij   Op.51-3  
  Pjat’ romansov na slova Pushkina
押し花  
     プーシキンの詩による5つのロマンス

詩: プーシキン (Aleksandr Sergeyevich Pushkin,1799-1837) ロシア
      Цветок засохший (1832)

曲: リムスキー=コルサコフ (Nikolai Andreyevich Rimsky-Korsakov,1844-1908) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Tsvetok zasokhshij,bezukhannyj,
Zabytyj v knige vizhu ja,
I vot uzhe mechtoju strannoj
Dusha napolnilas’ moja.

Gde tsvel,kogda,kakoj vesnoju?
I dolgo l’ tsvel,i sorvan kem?
Chuzhoj,znakomoj li rukoju?
I polozhen sjuda zachem?

Na pamjat’ nezhnogo l’ svidan’ja
Ili razluki rokovoj,
Il’ odinokogo guljan’ja
V tishi polej,v teni lesnoj?

I zhiv li tot,i ta zhiva li?
I gde ikh nynche ugolok?
Ili uzhe oni uvjali,
Kak sej nevedomyj tsvetok?

押し花が、もはや香りを失って
私の見ている本の中に忘れられている
そして今 奇妙な夢想に
私の心は満たされるのだ

どこで咲いていたのか、いつ、どんな春に?
どれくらい長く咲いていたのか、誰に摘まれたのだろう?
見知らぬ人、それとも良く知った人の手で?
そしてこの場所にどうしてあるのだ?

甘いデートの思い出に寄せてか
それともつらい別れのためか
あるいはただの散歩の記録か
静かな野原や、森の木陰の?

そして彼は生きているのか、彼女は生きているのか
今どこに住んでいるのだろうか?
それとももう死んでしまっているのだろうか
この見知らぬ花のように?


「凋める花」というタイトルで紹介されていることが多いようですが、詩を見ると押し花のことを語っていますし、Tsvetok zasokhshijはドライフラワー、といった感じの訳が一番しっくりくるようですのでここでのタイトルは「押し花」としました。非常に面白い詩で、歌になってもなんとも印象深いものになりました。リムスキー=コルサコフの曲が詩の抑揚をうまく生かした、語りに近いものとしていることもあるのかも知れません。ボリス・クリストフの歌(EMI)を聴くことができましたがまさにはまり過ぎの名演でした。

( 2008.09.24 藤井宏行 )


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