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Poet   Op.45-5  
  Poetu
詩人  
     詩人に

詩: プーシキン (Aleksandr Sergeyevich Pushkin,1799-1837) ロシア
      Поэт (1827)

曲: リムスキー=コルサコフ (Nikolai Andreyevich Rimsky-Korsakov,1844-1908) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Poka ne trebuet poeta
k svjashchennoj zhertve Apollon,
v zabotakh suetnogo sveta
on malodushno pogruzhen;

molchit ego svjataja lira;
dusha v kushaet khladnyj son,
i mezh detej nichtozhnykh mira,
byt’ mozhet,vsekh nichtozhnej on.

No lish’ bozhestvennyj glagol
do slukha chutkogo kosnetsja,
dusha poeta vstrepenetsja,
kak probudivshijsja orel.

Toskuet on v zabavakh mira,
ljudskoj chuzhdaetsja molvy,
k nogam narodnogo kumira
ne klonit gordoj golovy;

bezhit on,dikij i surovyj,
i zvukov,i smjaten’ja poln,
na berega pustynnykh voln,
v shiroko-shumnye dubrovy...

詩人が召還され
アポロ神への聖なる生贄にとなるまでには
虚しき虚栄の光の中に
彼は恐る恐る浸っていた

彼の聖なる竪琴も鳴ることはなく
魂は寒々とした眠りの中にあった
この世に見捨てられた子供たちの中にあって
恐らく彼こそが一番みじめであったであろう

だが、神の一言が
彼の繊細な耳に届いたとき
詩人の魂は震えたのだ
まるで鷲がはばたくように

彼はこの世の楽しみを求めることもなく
他人からの名声を避け
国家の支配者の足元に
その誇り高き頭を下げることもしない

彼は走り去る、激しくまた荒々しく
音と心の昂ぶりに満ちて
ひとけのない波打ち際へと
騒がしい森の中へと


これは同じリムスキー=コルサコフが鮮烈な曲をつけたプーシキンの詩「予言者」を思い起こさせる激しい詩です。詩人として神の言葉を人々に伝えるのだ、という自負心がビンビンに伝わってきます。書かれたのも1827年ということですから比較的「予言者」と誓い頃でしょうか。これも残念ながらまだ音楽を聴くことは叶わない作品のひとつですが、リムスキーのメロディでぜひとも聴いてみたい素敵な詩でした。

( 2008.09.24 藤井宏行 )


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