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Va,petit mousse    
  Les cloches de Corneville
波をけり  
     コルヌヴィーユの鐘

詩: クラヴィーユ (Louis-François-Marie Nicolaïe dit Clairville,1811-1879) フランス  & ガベ (Émile Étienne Charles Gabet,1821-1903) フランス
      

曲: プランケット (Jean Robert Planquette,1864-1903) フランス   歌詞言語: フランス語


Va,petit mousse,
Où le vent te pousse,
Où te portent les flots,les flots
Sur ton navire,
Vogue ou chavire
Vogue ou chavire
Dans le fond des eaux.

Entre le ciel et l'onde,
Marchant vers l'horizon,
Ton navire est ton monde,
Ton pays,ta maison
Va,va,petit mousse
Vole où le vent te pousse
Va,va,va !

Va,petit mousse,
Où le vent te pousse,
Où te portent les flots,les flots
Sur ton navire,
Vogue ou chavire
Vogue ou chavire
Dans le fond des eaux.

Peut-être qu'une reine
Te donnera sa main
Peut-être une baleine
Te mangera demain
Va,va,petit mousse
Vole où le vent te pousse
Va,va,va !

Va,petit mousse,
Où le vent te pousse,
Où te portent les flots,les flots
Sur ton navire,
Vogue ou chavire
Vogue ou chavire
Dans le fond des eaux.

ゆけ、小さな舟よ
お前を風が押していくところへと
お前を波が運んでいくところへと
お前の舟の上で
進むも 沈むもままよ
進むも 沈むもままよ
水の底へと

空と波の間に
水平線に向かって進んで行く
お前の舟はお前の世界
お前の国、お前の城
ゆけ、ゆけ、小さな舟よ
飛んでゆけ お前を風が押していくところへと
ゆけ、ゆけ、ゆけ!

ゆけ、小さな舟よ
お前を風が押していくところへと
お前を波が運んでいくところへと
お前の舟の上で
進むも 沈むもままよ
進むも 沈むもままよ
水の底へと

もしかすると女王さまが
お前に手を差し伸べて下さるかも知れぬ
もしかすると鯨が
お前を明日呑みこんでしまうかも知れぬ
ゆけ、ゆけ、小さな舟よ
飛んでゆけ お前を風が押していくところへと
ゆけ、ゆけ、ゆけ!

ゆけ、小さな舟よ
お前を風が押していくところへと
お前を波が運んでいくところへと
お前の舟の上で
進むも 沈むもままよ
進むも 沈むもままよ
水の底へと

今ではほとんど上演されることもなくなったようですが、フランスの作曲家ジャン・ロベール・プランケットが1876年に書いたオペレッタ「Les cloches de Corneville コルヌヴィーユの鐘」は大正時代の浅草オペラでも1918年の初演以来「古城の鐘」というタイトルで人気の演目としてよく取り上げられていたようです。中でも漁師グレニショーが劇の最初の登場の際に歌うこの曲はテノールの田谷力三の十八番として非常に良く知られていたものなのだそうです。
私は残念ながらその田谷力三の絶唱は聴けてはいないのですが(年齢的にも難しい)、やはり日本で一世を風靡したテノール、藤原義江の歌をSP復刻録音で聴いてより非常に印象に残っていたメロディでした。今回フランス語の原詩を見つけたこともあり、もとの歌がどんな歌詞なのかを知るために邦訳を試みてみました。
私の訳の拙さもあるのでしょうが、やってみて思ったのはこの曲の良く知られた日本語詞の巧みさ。「恋はやさし」など数々の名歌詞をものした小林愛雄の歌詞はここでも冴えわたっています。
(なおこの訳は小林と、浅草オペラの舞台で活躍していた清水金太郎との共訳という説もあります)
いずれにしても著作権は切れているはずですので以下にご紹介します。原詞を如何に見事な日本語に乗せているのかを味わってみてください。一応原詩と改行を同じにしてあります。なお2番は私の手持ちの録音では収録なかったので、実際の浅草の舞台で歌われたのかどうかも分かりません。

「コルヌヴィーユの鐘」、フランスでは今でも時折は取り上げられるオペレッタのようで、少々古い録音ですがEMIからマディ・メスプレ他の歌でのCDが出ています。こちらでフランス語でのオリジナルを聴くこともできますのでご興味がおありの方はぜひ日本語版と聴き比べてみてください。


波をけり   詞:小林愛雄

  波をけり
  風をつく
  舟人に 海は家
  嵐にも
  舟べりに
  碧い水を ただ見る

  かたい枕に
  夢はかよい
  波路はるかに
  恋のたより
  ああ ああ 海風
  ああ ああ 今宵も
  吹け 吹け

  波をけり
  風をつく
  舟人に 海は家
  嵐にも
  舟べりに
  碧い水を ただ見る

( 2008.09.20 藤井宏行 )


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