Pioggia P 90 Sei Liriche,prima serie |
雨 6つの抒情歌 第1集 |
Piovea: per le finestre spalancate A quella tregua di ostinati ardori Saliano dal giardin fresche folate D'erbe risorte e di risorti fiori S'acchettava il tumulto dei colori Sotto il vel delle gocciole implorate; E intorno ai pioppi ai frassini agli allori Beveano ingorde le zolle assetate. Esser pianta,esser foglia,esser stelo E nell'angoscia dell'ardor (pensavo) Così largo ristoro aver dal cielo! Sul davanzal protesa io gli arboscelli, I fiori,l'erbe guardavo guardavo E mi battea la pioggia sui capelli. |
雨が降っている、大きく開けた窓から 纏わりついてくるこの熱気を鎮めようと 庭から立ち上ってくるのはさわやかな香り よみがえった草や花の香りだ あふれかえる色彩の氾濫は鎮められた 待ち望んでいたしずくのヴェールの下で そしてポプラやトネリコや月桂樹の周りでは 乾ききった土が水を貪欲に飲み干していた 植物であったなら、葉っぱであったなら、茎であったなら そしてこの熱気の苦しみの中にいたのなら(私は思った) これはなんと有難い天からの慰めであろうか!、と 窓から身を乗り出して若い苗木を 花を 草を 私は眺めていた 眺めていた 雨は私の髪を叩き続けた |
日本と同じように夏は激しく熱いイタリアならではの情景でしょうか。ギラギラと照りつけていた太陽が一瞬俄かにかき曇り、激しい雨で周りがけむる。そしてまとわりつくような熱気が冷めて、しおれていた植物たちが一斉に元気を取り戻す。日本の夏でもイメージできそうな光景ですね。
まるでドビュッシーのピアノ曲のような激しい雨を描写している伴奏はちょっと陳腐な印象もしなくはないですが、それでも鮮烈な雨の描写として耳に残ります。
元気を取り戻した植物の立場に自分を置いて沈思しているところでは音楽もゆっくりとなり、雨の響きも止まりますが、また最後に激しい雨の響きが戻って参ります。
( 2008.09.15 藤井宏行 )