Ave Maria |
アヴェ・マリア |
Ave Maria,madre Santa, Sorreggi il piè del misero che t'implora, In sul cammin del rio dolor E fede,e speme gl'infondi in cor. O pietosa,tu che soffristi tanto, Vedi,ah! vedi il mio penar. Nelle crudeli ambasce d'un infinito pianto, Deh! non m'abbandonar. Ave Maria! In preda al duol, Non mi lasciar,o madre mia,pietà! O madre mia,pietà! In preda al duol, Non mi lasciar,non mi lasciar. |
アヴェ・マリア 聖母様 御身に哀願せんとする この不幸な足を支え給え ひどい苦しみの道の中にあっても そして信仰を、希望を心の中に呼び覚まし給え おお、慈悲深きお方、大いなる苦しみを受けし御身 ご覧あれ、ああ!我が苦しみをご覧あれ 限りなき涙を流し 残酷な苦悶の中にある者を おお! 見捨て給うな アヴェ・マリア、悲しみの苦悩の中に 我を留め給うな、おお我が母 お慈悲を! おお我が母 お慈悲を!悲しみの苦悩の中に 我を留め給うな、我を留め給うな |
マスカーニの代表作といえば歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」でしょうが、その中でもクライマックスに至る直前の教会での礼拝のシーンで使われる「間奏曲」はひときわ美しいメロディでオペラを聴かない人にも広く知られた人気の曲です。
シチリアの熱き不倫の物語。この間奏曲が印象的に奏でられる直前にはトリッドゥとサントゥッツァの二人が激しく言い争い、ついにはサントゥッツァが誠意のない夫に呪いの言葉を浴びせかける、さらにはトリッドゥの不倫相手の夫アルフィオにサントゥッツアがばらして怒り爆発...そのドロドロした愛憎劇とこの澄み切った間奏曲とのギャップが実に見事です。
このメロディ、あまりに人気が出たためでしょうか。後に歌詞を付けて歌曲としても愛唱されるようになりました。伴奏の方が間奏曲のメロディそのままで、歌がそれの対旋律のように絡みつくのはまた原曲とは別の魅力です。
このアヴェ・マリア、バロックなどでよく見かけるラテン語の典礼文の文句ではなくてマッツォーニという人の書いたオリジナルのようですが、この人の略歴などは分かりませんでした。JASRACの作品データベースでは著作権切れとされていましたので、その原詩とお粗末ではございますが私の訳を掲載させて頂きます。
「ダニー・ボーイ」の作詞で知られたイギリスの作詞家フレデリック・ウェザリーが英語の歌詞を書いていて、英語圏ではこちらでも良く歌われるようです。これも著作権は切れているはずですので載せてみましょう(訳詞は間に合いませんでした。すみません)。大筋ではイタリア語のものと変わりませんが、細かな差異は面白いですね。
Ave Maria,Hear my cry
O guide my path,where no harm,
no harm is nigh.
Oh turn thy heart to earth and see
my lonely heart and comfort me
Mother see mt tears,
my tears are falling.
Thou hast also sorrow known,
life ah it is so dreary,
my heart it is so weary.
Ah,leave me not alone!
O Mother hear me in the light.
Look down on me,my comfort be
And guide my stepe a right.
O mother hear me where thou art
And guard and guide my aching heart,
my aching heart
( 2008.09.14 藤井宏行 )