O del mio amato ben 36 Arie di Stile Antico |
おお私のとても愛していた人 古典様式による36のアリア |
O del mio amato ben perduto incanto! Lungi è dagli occhi miei chi m'era gloria e vanto! Or per le mute stanze sempre la cerco e chiamo con pieno il cor di speranze… Ma cerco invan,chiamo invan! E il pianger m'è si caro, che di pianto sol nutro il cor. Mi sembra,senza lei, triste ogni loco. Notte mi sembra il giorno, mi sembra gelo il foco. Se pur talvolta spero di darmi ad altra cura, sol mi tormenta un pensiero: ma,senza lei,che farò? Mi par così la vita vana cosa senza il mio ben. |
おお私のとても愛していた人 なくしてしまった魅惑よ! 私の目からははるか遠くなってしまった人 私の栄光であり 誇りだったあの人! 今 物音ひとつしない部屋の中で 私はいつも探し 呼び続ける はかない望みを胸にして けれど探すのもむなしく 呼ぶのもむなしい! そして泣くことが私には身近なものとなった まるで涙が魂を養っているかのように 私には思える、あの人なしでは、 どんな場所も悲しいと 私には昼さえも夜だし 炎も氷のように感じる たとえ時には願ったとしても 他の癒しを与えられることを たったひとつの考えが私を苦しめる でもあの人なしでどうするの? と 私には人生はこんなにもむなしいものなのだ 愛する人がいなければ |
声楽をやられる方にしかおなじみではないかも知れませんが、近代イタリアの作曲家ステファノ・ドナウディの書いた美しい歌曲の中でも代表作とされる歌です。彼の書いた「古典様式による36のアリア」の中の1曲ですが、イタリアの歌を歌っている人ならば必ずと言ってよいほど取り上げておられるように思います。
もっともイタリア古典歌曲が苦手な私には、この曲のそんな感じの地味地味さが肌にあわなくてあまり好みではなかったので、今まであまり注意を払わずにいたのですが、歌詞を自分なりに訳してみて、それを見ながら改めてじっくりと聴いて見るとこの曲の出来の素晴らしさがわかったような気がします。まあ歌詞の内容はイタリア歌曲によくあるドロドロの怨み節なのではありますけれども。
古典的な様式の顔をしてはいながらも結構ドラマティックな作りになっていることが何となくではありますけれども理解できました。
( 2008.09.11 藤井宏行 )