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Vuol note o banconote?    
 
欲しいのは楽譜 それとも札束?  
    

詩: ダンヌンツィオ (Gabriele d'Annunzio,1863-1938) イタリア
      Vuol note o banconote?

曲: トスティ (Francesco Paolo Tosti,1846-1916) イタリア   歌詞言語: イタリア語


Vuol note... o banconote?
Vuole una canzoncina,
o un vaglia per la dolce “Cronaca Bizantina”?
Lei preferisce i fumi,Direttore,agli arrosti?
E allora eccole note sole. Paolo Tosti.

欲しいのは楽譜...それとも札束?
あなたは1曲小カンツォーネをご所望か
それとも小切手をこの素敵な「ビザンチン・クロニクル」紙のためにご所望か?
どうも例の香りがお好みのようですな、編集長、炙った肉の香りが?
それならこの楽譜だけを進呈しよう。パオロ・トスティ

ユニークな詩と曲です。
流麗に淡々と歌われ、30秒もせずに終わってしまいます。
こんなのがダヌンツィオの詩にトスティの曲で作られていたというのも意外なことですが、実際にこれはこの詩でも歌われている週刊の新聞「ビザンティン・クロニクル」の1882年の2月1日号に掲載されたもののようです。当時トスティはすでに名をなした作曲家だったので、おそらくこの新聞から彼への楽譜の依頼に対する返答としての曲の進呈であったのでしょう。しかし楽譜「Note」の依頼に「欲しいのは札束Banconoteか?」などと返すのは何ともブラックなジョーク。気の短い人なら激怒しかねないところです。まあこうして新聞の編集部が激怒せずに載せてくれたおかげで、この曲が今に残ったのは感謝せねばならないでしょう。

実はこの新聞で、まだ二十歳そこそこであったダヌンツィオは芸術時評や書評を書いていたのだそうで、そのあたりのコネクションも関係していたのかも知れません。彼とトスティはすでに1880年には知りあっていたといいますし、もしかすると出来レース?

( 2008.09.06 藤井宏行 )


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