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I have trod the upward and the downward slope    
  Songs of Travel
上り坂、下り坂と俺は歩いてきた  
     旅の歌

詩: スティーヴンソン (Robert Louis Balfour Stevenson,1850-1894) イギリス
    Songs of Travel and other verses 22 I have trod the upward and the downward slope

曲: ヴォーン=ウィリアムズ (Ralph Vaughan Williams,1872-1958) イギリス   歌詞言語: 英語


I have trod the upward and the downward slope;
I have endured and done in days before;
I have longed for all,and bid farewell to hope;
And I have lived and loved,and closed the door.

上り坂、下り坂と俺は歩いてきた
ずっと耐えてきた そして何日か前にそれは終わった
すべてのものをずっと求めてきた そして希望に別れを告げた
ずっと生き、愛してきた、それから扉を閉めた


シューベルトの「冬の旅」その終曲「辻音楽師」を連想させる詞と音楽です。ただあちらと違うのはこれが人生という旅の終わりを告げるかのような内容であるということでしょうか。ところがスティーブンソンの詩集では44篇の詩の中でも22番目ということで丁度ど真ん中。決してこれで終わっているわけではありません。
もともと詩集自体もタイトルが「旅の歌とそのほかの詩」となっていることからもお分かりのように旅の歌ばかりを集めているわけではありませんし、旅の歌の中にも詩人がハワイやタヒチの旅行に行った時の思い出を綴ったような詩もいくつも入っていますので、実はこれ、さほど統一感がある詩集というわけでもありません。そんな中からこの詩を選び出してきて歌曲集の終曲とするというのはかなり「冬の旅」を意識していたところもあるのでしょう。
しかも更に興味深いのは、この曲はこの歌曲集が発表されたときには含まれておらず、1曲前の「輝かしきは言葉の響き」が終曲であったことです。作曲者の死後にこれは発見され、そして歌曲集の最後の曲となりました。ですからこれが最終曲で良いかというと必ずしも作曲者の意図ではないのかも知れません。しかしこの曲を最後に置くことで歌曲集全体が引き締まったということも言えると思います。またシューベルトの「冬の旅」との関連性も一層深まったのではないでしょうか。

曲は非常にゆったりとしたテンポで重々しく歌われ、また随所で第1曲「放浪者」のこだまが聴こえます。

( 2008.09.15 藤井宏行 )


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